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09月13日-03号

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  1. 神奈川県議会 2022-09-13
    09月13日-03号


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    令和 4年 第三回 定例会 △《本会議録-令和4年第3回-20220913-029284-諸事項-出席議員等議事日程-》 令和4年第3回神奈川県議会定例会会議録第3号〇令和4年9月13日 午後1時開議   ───────────────────────────────────────〇本日の出席議員 議長共102名       出 席 議 員                       大   村       悠                       桝       晴 太 郎                       永   田   磨 梨 奈                       加   藤   ご   う                       永   田   て る じ                       菅   原   あきひと                       須   田   こうへい                       す と う   天   信                       上   野   た つ や                       石   田   和   子                       田   村   ゆうすけ                       松   長   泰   幸                       山   口   美 津 夫                       高   橋   延   幸                       武   田       翔                       田   中   信   次                       川   崎   修   平                       神   倉   寛   明                       お ざ わ   良   央                       た め や   義   隆                       飯   野   まさたけ                       望   月   聖   子                       佐 々 木   ナ オ ミ                       柳   瀬   吉   助                       市   川   さ と し                       佐   藤   けいすけ                       大   山   奈 々 子                       君   嶋   ち か 子                       池   田   東 一 郎                       石   川       巧                       芥   川       薫                       川   本       学                       市   川   和   広                       山   本       哲                       綱   嶋   洋   一                       新   堀   史   明                       田   中   徳 一 郎                       山   口   貴   裕                       野   田   治   美                       脇       礼   子                       石   川   裕   憲                       米   村   和   彦                       小   林   大   介                       京   島   け い こ                       井   坂   新   哉                       佐 々 木   ゆ み こ                       楠       梨 恵 子                       西   村   く に こ                       谷   口   かずふみ                       藤   代   ゆ う や                       渡   辺   紀   之                       原       聡   祐                       高   橋   栄 一 郎                       あ ら い   絹   世                       柳   下       剛                       細   谷   政   幸                       河   本   文   雄                       内   田   み ほ こ                       中   村   武   人                       古   賀   照   基                       青   山   圭   一                       斉   藤   た か み                       赤   野   た か し                       さ と う   知   一                       亀   井   たかつぐ                       佐 々 木   正   行                       渡   辺   ひ と し                       小 野 寺   慎 一 郎                       長   田   進   治                       国   松       誠                       杉   本       透                       し き だ   博   昭                       小   島   健   一                       いそもと    桂 太 郎                       梅   沢   裕   之                       嶋   村   た だ し                       桐   生   秀   昭                       市   川   よ し 子                       岸   部       都                       く さ か   景   子                       作   山   ゆうすけ                       菅   原   直   敏                       北   井   宏   昭                       相   原   高   広                       鈴   木   ひ で し                       藤   井   深   介                       森       正   明                       土   井   りゅうすけ                       杉   山   信   雄                       小   川   久 仁 子                       持   田   文   男                       竹   内   英   明                       浦   道   健   一                       加   藤   元   弥                       松   田   良   昭                       牧   島       功                       堀   江   則   之                       松   本       清                       た き た   孝   徳                       松   崎       淳                       近   藤   大   輔                       曽 我 部   久 美 子       欠 席 議 員                       栄   居       学       説明のための出席者         知事            黒   岩   祐   治         副知事           武   井   政   二         同             小 板 橋   聡   士         政策局長          平   田   良   徳         総務局長          筒   浦   浩   久         くらし安全防災局長     佐   川   範   久         福祉子どもみらい局長    橋   本   和   也         健康医療局長兼未病担当局長 山   田   健   司         産業労働局長        河   鍋       章         県土整備局長        大   島   伸   生         デジタル行政担当局長    尾   﨏   美 貴 江         共生担当局長        川   名   勝   義         教育委員会教育長      花   田   忠   雄         同  教育局長       田   代   文   彦         警察本部長         林           学         同  総務部長       重   江   光   一   ───────────────────────────────────────       議会局出席者         議会局長          浦   邊       哲         議会局副局長兼総務課長   高   瀨   正   明         同  議事課長       井   上       実         同  政策調査課長     大 河 原   邦   治   ───────────────────────────────────────           令和4年第3回神奈川県議会定例会議事日程第3号                            令和4年9月13日午後1時開議第1 定県第 71 号議案 令和4年度神奈川一般会計補正予算(第2号)   定県第 72 号議案 同  年度神奈川水道事業会計補正予算(第1号)   定県第 73 号議案 神奈川県公報による公告の見直しに伴う関係条例の整理に関する条例   定県第 74 号議案 神奈川県当事者目線障害福祉推進条例   定県第 75 号議案 地方税法第37条の2第1項第4号に掲げる寄附金を受け入れる特定非営利活動法人等を定める条例の一部を改正する条例   定県第 76 号議案 神奈川県県税条例の一部を改正する条例   定県第 77 号議案 神奈川県みんなのバリアフリー街づくり条例の一部を改正する条例   定県第 78 号議案 神奈川県立高等学校等の設置に関する条例の一部を改正する条例   定県第 79 号議案 工事請負契約の締結について(一級河川矢上川地下調節池トンネル本体Ⅰ期工事請負契約)   定県第 80 号議案 特定事業契約の締結について(県営上溝団地特定事業契約)   定県第 81 号議案 特定事業契約の締結について(県営追浜第一団地特定事業契約)   定県第 82 号議案 指定管理者の指定について(伊勢原射撃場)   定県第 83 号議案 指定管理者の指定について(湘南港)   定県第 84 号議案 指定管理者の指定について(葉山港)   定県第 85 号議案 和解について   県報第2号 専決処分について承認を求めること(動産の取得について)   県報第3号 専決処分について承認を求めること(損害賠償請求訴訟の判決に対する控訴について)第2 認第1号 令和3年度神奈川公営企業決算及び神奈川県流域下水道事業決算の認定について   ─────────────────────────────────────── △《本会議録-令和4年第3回-20220913-029285-質問・答弁-西村くにこ議員-代表質問①ウィズコロナの医療に向けた県民理解の促進について②大規模災害時における支援物資の円滑な供給について③障がい者差別解消に関する取組の充実について④困難な状況に置かれている女性への支援について⑤筋電義手のさらなる普及促進について⑥新生児マススクリーニング検査の拡大について⑦リトルベビーハンドブックの策定について⑧高校生の就職活動へのデジタル技術の導入について⑨車両及び運転者を特定しない通行禁止道路通行許可の手続について》    〔議会局長報告〕  出席議員 議長共102名 ○議長(しきだ博昭) ただいまから、本日の会議を開きます。   ─────────────────────────────────────── ○議長(しきだ博昭) 審議を行います。  日程第1、定県第71号議案 令和4年度神奈川一般会計補正予算外16件及び日程第2、認第1号 令和3年度神奈川公営企業決算及び神奈川県流域下水道事業決算の認定について、以上一括して議題といたします。  これより質問並びに質疑を行います。  質問の通告がありますので、順次発言を許します。  西村くにこ君。  〔西村くにこ議員登壇〕(拍手) ◆西村くにこ議員 議長のお許しを頂きましたので、私は、公明党神奈川県議団を代表して、通告に従い、質問をさせていただきます。  知事並びに教育長、警察本部長におかれましては、明快かつ真摯な御答弁をよろしくお願いいたします。また、先輩並びに同僚議員の皆様におかれましては、しばらくの間、御清聴のほど、お願いいたします。  新型コロナウイルスは、変異を繰り返しながら、感染の規模を拡大してきました。2年半以上にわたるパンデミックは、コロナに関わる感染予防や医療の現場のみならず、医療提供体制そのものや社会経済に大きな影響を及ぼしています。  飲食業においては、蔓延防止等が交付されるたびに営業時間の短縮などが要請され、日本経済の牽引を期待された観光業も幾度となく継続的な営業が妨げられました。  加えて、昨年末からの原油・原材料の値上がりは、物価高騰となって県民生活を直撃し、我が会派の下には様々な業界、業種の方々から、悲痛な声が届けられています。  過日も、福祉施設を運営されている方々から、光熱費や送迎のためのガソリン代、入居者への食費が高騰しているものの、利用者にそのまま転嫁することもできず、大変厳しい状況にあるとの声が寄せられ、会派として、知事に対し緊急要望をしたところです。  まだまだ課題は山積していると承知しておりますが、これまで本県は数多くの神奈川モデルを提唱、実践してきました。本日の提言が次なるステージであるウィズコロナ神奈川モデルにつながることを期待して、質問に入ります。  〔資料提示〕  質問の第1は、ウィズコロナの医療に向けた県民理解の促進について伺います。  この夏、オミクロンBA.5の圧倒的な感染スピードが、かつてない数の感染者を発生させました。8月初旬をピークとして、感染者数は減少傾向にあるものの、現時点でも、この第7波は収束したとは言えない状況にあります。  こうした状況の中では、神奈川県感染症対策協議会などの場で、保健医療提供体制に関して、支援対象者の重点化や、コロナを特別扱いしない日常の医療提供体制に戻していくといった議論を専門家だけで進められても、県民は追いついていけません。  〔資料提示〕  一方、感染爆発で医療現場が逼迫していけば、新型コロナ重症化リスクが高い患者はもとより、他の疾患で早期治療が必要な患者や事故による救急患者も入院治療できなくなることが危ぶまれます。  限られた医療資源の中で、県民の命、救える命を救うためには、コロナだけでなく、あらゆる疾病、傷病のリスクの高さを優先した保健医療サービスの提供を行うべきであり、そのためのコロナ対応の見直しも必要と考えます。  ただし、こうした見直しは、あくまで県民の理解が得られていく中で段階的に進めるべきです。そのためには、新型コロナの患者に関する明確なデータに基づき、現在のコロナの特性等を分かりやすく県民に説明し、理解を促すとともに、限られた医療資源の適切な活用につなげることが重要です。  そこで、知事に伺います。  ウィズコロナを見据えつつ、限られた医療資源を有効に活用し、命を守る保健医療提供体制を構築していくに当たり、県民の理解を促すために、どのように取り組んでいくのか、知事の御所見を伺います。  〔資料提示〕  質問の第2は、大規模災害時における支援物資の円滑な供給について伺います。  今年は、3月に福島県沖で震度6強、6月には石川県能登地方で震度6弱を観測する地震が発生しました。  本県でも、一たび首都直下地震が発生すれば、都市部を中心とした広いエリアで震度6強の揺れが想定されています。  このような大規模災害時に懸念をされているのが膨大な被災者への生活支援、特に支援物資供給体制です。  首都直下地震で想定される本県の避難者100万人超に対し、迅速に水、食糧、毛布などを提供するためには、備蓄物資の提供に加え、全国からの支援物資をいかに速やかに受け入れ、供給するかという体制整備が重要になります。  現在は、国などからの支援物資を県が設置する5か所の物資拠点で受け入れ、市町村を通じて避難所に輸送する形が基本となっています。  〔資料提示〕  本年8月、県は、川崎市と連携して、大型物流倉庫を所有する事業者や輸送を担う事業者の協力を得て、民間の物流倉庫に広域物資輸送拠点を開設したことを想定した物資の受入れ訓練を行いました。  私も訓練を視察しましたが、現場では、国から送られてきた大量の支援物資の受入れから、市の避難所へ輸送するまでの一連の作業を県職員が行う想定で実施されていました。基本的な技術を身につけているとはいえ、職員が大規模災害時に、大量に送られてくる物資に対して、スピード感を持って、荷役作業を行うには限界があるのではないか、また、そもそも発災直後に、一体何名の職員が即座に物資拠点に到着できるのだろうと感じたところです。  東日本大震災や熊本地震では、物資拠点の被災に加え、情報やノウハウ不足などから物資が滞留し、避難所に行き渡らないといった状況があったと指摘されています。  そうした事態を回避し、災害発生直後から、物流に関わるプロの民間事業者の協力を得て、速やかに支援物資を避難所に輸送できるよう、県は、国や民間との連携体制を強化する必要があると考えます。  そこで、知事に伺います。  本県でいつ発生してもおかしくない大規模地震に備え、災害時の支援物資の円滑な供給体制の強化に向けて、どのように取り組むのか、知事の御所見を伺います。  〔資料提示〕  質問の第3は、障がい者差別解消に関する取組の充実について伺います。  障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律、いわゆる障害者差別解消法が施行された平成28年、私は、第3回定例会一般質問において、山形県で実施されていた心のバリアフリー推進員の養成研修を本県でも始めるよう提案しました。  〔資料提示〕  心のバリアフリー推進員は、民間事業者の中で、障害者差別解消の中核的な役割を果たす人材を養成する取組で、本県では、平成29年度から開始していただいています。  また、令和4年第1回定例会では、我が会派の亀井議員が障がい者の差別解消に関する条例の制定について代表質問を行い、その結果、現在、県が制定を目指している神奈川県当事者目線障害福祉推進条例案において、障害者差別解消に関する規定が設けられる方向となっていると承知しています。  障害者差別解消法は令和3年6月に改正され、国や地方公共団体による差別を解消するための支援措置の強化のほか、民間事業者による合理的な配慮の提供の義務化などが新たに規定され、今後、施行が予定されています。  しかし、最近も、盲導犬を同伴している視覚障害者がスーパーや飲食店への入店を断られた事案が報道されるなど、障害を理由とする不当な差別は、依然として解消されていません。  法の施行に伴い、合理的配慮を訴える当事者の声をどこが受け止め、解決するのかといった仕組みづくりが求められます。  今回提案されている条例案を契機に、障害を理由とする差別解消の取組が一層充実され、紛争・紛議の解決を推進するなど、条例制定後の具体的な取組にしっかりとつなげていただきたいと考えています。  そこで、知事に伺います。  条例における障害者への差別解消に向けた知事の思いを伺うとともに、障害者差別解消に関する取組の充実に向け、どのように進めていこうと考えているのか、知事の御所見を伺います。  〔資料提示〕  質問の第4は、困難な状況に置かれている女性への支援についてです。  まず、若年被害女性支援について伺います。  今年5月、困難な問題を抱える女性への支援に関する法律が公布されたことは、婦人保護事業が、これまでの売春防止法を根拠とした保護更生から、福祉増進へ転換が図られたといった意味で、画期的な出来事であったと喜んでいます。  近年、女性をめぐる課題は多様化、複合化、複雑化していますが、若年女性への対応もまた、新たな制度の下で充実されるべき取組であると考えます。  いじめ、虐待、貧困、ネグレクト、DV、親に言えない悩みがある、望まない性行為をした、居場所がない─発信できないSOSと生きづらさを抱えている少女や若い女性たちは、自ら悩みを抱え込む傾向が強いため、問題が顕在化しにくく、支援につながらないという側面が指摘されています。  また、公的機関につながったとしても、18歳未満は児童相談所が対応し、18歳を超えると、成年として扱われるといった年齢による制度的な限界等により、支援に至らないケースや、従来の婦人保護事業では、世代間のギャップや施設での携帯電話の使用を禁じられた等の理由から、自ら支援から逃れてしまうケースなどもあると聞いています。  〔資料提示〕  国においても、困難を抱えた若年女性を対象に、夜間見回りや声かけなどを行うアウトリーチ事業に対する支援を行っていますが、これまでの公的機関の支援だけでは対応が難しく、民間団体と密接に連携し、個々のケースに応じたきめ細やかな支援を行うことが必要と考えます。  そこで、知事に伺います。  困難な問題に直面している若年女性への支援について、県として、どのように取り組んでいくのか、知事の御所見を伺います。  〔資料提示〕  次に、困難な状況に置かれた妊婦への支援について伺います。  若年被害女性が予期せぬ妊娠により、より困難な状況に追いやられることは十分に考えられます。  しかし、現行では、対象者の年齢や、生まれてきた子供の養育をどうするかなど、ケースが異なると支援の窓口も異なります。行政の都合で、同じ人間への支援が途切れることがないよう、困難な状況に置かれた女性に寄り添う部局横断的な支援体制が築かれることを願って質問を続けます。  予期せぬ妊娠や貧困、DV、若年妊娠などで子供を育てるのが難しく、出産前から支援を行うことが特に必要とされる特定妊婦は、2019年の厚生労働省の調査によると、全国で約8,200人、ここ10年の間で約8倍まで増加しています。  特定妊婦は、主に母子健康手帳の交付や妊婦健診など、行政主体の活動の中で把握されることが多いのですが、妊婦の中には、妊娠自体を受容できず、経済的、精神的、社会的な葛藤を抱え、声を上げず、相談もせず、行政機関の支援が届かない困難な状況に置かれている、つまり特定妊婦にも特定されない妊婦が少なからず存在します。  この特定妊婦として把握されていない、困難な状況に置かれている妊婦は、支援の網からこぼれ落ちてしまい、母子双方の健康リスクや、新生児の遺棄、児童虐待といった痛ましい事案につながる危険性が非常に高いと考えられます。  大阪府では、大阪産婦人科医会に委託して、未受診や飛込みによる出産等実態調査が実施されています。過去の調査からは、未受診妊娠と児童虐待死亡事件の背景因子が非常に類似していることや、未受診妊娠で出生した子供たちが、その後、児童虐待を受ける事例が多数報告されるなど、未受診妊娠の医学的な問題とともに社会的な問題が示され、その後の母子への対応にも役立てられています。  〔資料提示〕  また、現在、本県には、困難な状況に置かれた妊婦が産前産後を通じて利用できる妊婦シェルターのような施設はありませんが、福岡市では、日本財団と協定を締結し、特定妊婦を対象に、妊娠期から自立まで切れ目ない支援を行う全国初となる支援施設を開所することとしており、母子で暮らしながら職業訓練も可能で、令和5年度の運用開始を目指しています。  本県においては、先進事例も参考にしながら、まずは、困難な状況に置かれた妊婦の実態を把握し、関連する全ての機関が連携して、切れ目ない効果的な支援を実施する必要があると考えます。  そこで、知事に伺います。  今後、県として、困難な状況に置かれた妊婦に対する支援について、どのように考えているのか、知事の御所見を伺います。  〔資料提示〕  質問の第5は、筋電義手のさらなる普及促進について伺います。  筋電義手は、筋肉の収縮時に発生する僅かな電流に反応して、自分の意思で動かすことができる義手で、先天的に腕の一部が欠損している方や、事故や病気で腕を失った方でも、握る、つかむなどといった動作ができるようになります。  本県では、平成29年度に、神奈川リハビリテーション病院で筋電義手の訓練を開始しましたが、一昨年、知事が現場に足を運ばれたことを契機に、昨年度には、未来筋電義手センターが設置され、県として支援に取り組むようになりました。  しかし、筋電義手は、1本約150万円と非常に高額です。日常的に使いこなせるようになれば、障害者総合支援法の公費負担を得て、最大3万7,200円で購入できますが、訓練用義手の購入には公費負担がありません。普及が進まない原因の一つとして、義手を購入する医療機関の負担の大きさが考えられます。  これについては、昨年度の決算特別委員会で、私が多くの方からの御支援を募り、訓練用義手の確保充実を図るバンクの設立を提案したところ、県は今年度、筋電義手バンクを立ち上げてくださいました。  〔資料提示〕  さて、神奈川リハビリテーション病院での訓練実績は、累計で十数名ですが、本県においては、先天的に腕の一部が欠損して生まれてくる赤ちゃんは、年間約20人と言われています。筋電義手を使いこなすには、長時間のリハビリが必要ですが、幼少期に体験していると、いっとき、筋電義手の利用から離れても、将来、リハビリを再開したときに、通常より早く習得ができるそうです。  より多くの方に、未来筋電義手センターについて知っていただき、挑戦する機会と、筋電義手の普及を促進する必要があると考えます。  また、筋電義手を必要とする方々に的確に情報を伝えていくためには、医療機関等に対しては熟知した医師による丁寧な説明が、県民に対しては動きが分かりやすい動画による広報が効果的と考えます。  さらに、利用希望者が増えた場合でも、多くの方が訓練を行えるよう、支援の財源となる筋電義手バンクの認知度を高めていく取組も必要と考えます。  そこで、知事に伺います。  筋電義手の普及促進に向け、県として、今後どのように取り組んでいくのか、知事の御所見を伺います。  〔資料提示〕  質問の第6は、新生児マススクリーニング検査の拡大について伺います。  新生児マススクリーニング検査は、知らずに放置すると、神経障害や生命に関わる可能性がある先天性代謝異常等を新生児のうちに見つけるための検査です。  本県では、県と政令指定都市の4自治体が協調して、神奈川県予防医学協会に委託し、原則、新生児全員に実施され、20種類以上の疾患の検査が可能となるタンデムマス法と呼ばれる検査を導入していると承知しています。  加えて、近年では、重症複合免疫不全症と脊髄性筋萎縮症の2疾病についても検査が可能となり、いわゆる拡大新生児マススクリーニング検査として実施している自治体もあります。  重症複合免疫不全症は、乳幼児を病気から予防するために必要な生ワクチンによる予防接種に対し、重篤な副反応を起こすため、予防接種が行われる生後2か月までに発見することが望まれます。  また、脊髄性筋萎縮症は、発症すると運動機能や呼吸機能が低下し、命に及ぶ疾病ですが、有効な薬が開発され、発症前に治療すれば、根治も含めた高い効果が期待されています。  熊本県と栃木県では、検査から発症前の赤ちゃんを発見し、治療につなぐことができました。そのことから、熊本県では補助事業を設け、同検査が推奨されています。  本県でも、保護者が希望する場合は、この2疾患の検査が今年4月から、自己負担により受検可能となりました。  一方、まだこの2疾患の検査については、その内容や検査の意義があまり知られておらず、さらに、自己負担があるため、ちゅうちょされる方もいらっしゃるのではないかと懸念しております。  あわせて、拡大検査を実施している医療機関も限られていることから、検査の内容や実施している医療機関の情報を保護者に知っていただき、出産した病院で行っていない場合でも、希望すれば検査が受けられるようにする取組が必要と考えます。  そこで、知事に伺います。  この拡大新生児マススクリーニング検査を多くの方に知っていただき、また、希望した方が検査を受けられるようにするため、県としてどう取り組んでいこうと考えているのか、知事の御所見を伺います。  〔資料提示〕  質問の第7は、リトルベビーハンドブックの策定について伺います。  昨年9月の代表質問で提案した低出生体重児のための母子健康手帳のサブブック、(仮称)リトルベビーハンドブックについて、知事からは、親御さんや御家族の不安を解消し、安心して子育てができるよう、気持ちに寄り添う支援を進めるとの大変前向きで、温かな御答弁を頂きました。  その後、予算化し、原稿作成を県立こども医療センターに委託して準備が進められています。  〔資料提示〕  5月に、県ホームページを通じて実施された低出生体重児の保護者の方を対象としたアンケートには、県内外から多くの反響があり、県のアンケートでは、異例の3,000件以上の回答があったと聞いています。  7月28日には、学識者や当事者家族の声を聴く検討会が開催され、低出生体重児に起こる疾患などをどこまで掲載するか、医学的な記載を誰が行うのか等々、活発な議論が行われたと承知しています。  ハンドブックが作成された後も、このように、様々な職種、立場の方々が参画したリトルベビーのためのネットワークが構築、継続され、リトルベビーファミリーのサポートの充実が図られることを強く希望します。  また、今後は、策定されたリトルベビーハンドブックが低出生体重児への支援に、いかに有効活用され得るか、また、どのように配布されるかが課題と考えます。あわせて、県民の皆様にも、低出生体重児とその御家族のことを広く知っていただき、成長を見守ってもらえるような機運の醸成も望まれます。  そこで、知事に伺います。  県として、リトルベビーハンドブックをどのように策定し、活用しようと考えているのか、また、低出生体重児とその家族への理解の促進に、どのように取り組んでいくのか、知事の御所見を伺います。  〔資料提示〕  質問の第8は、高校生の就職活動へのデジタル技術の導入について伺います。  高校生の就職活動については、今年も9月16日以降に選考が始まります。各学校では、生徒の希望を聞き取り、面談を繰り返すなど、丁寧な進路指導を行い、生徒の就職支援に取り組まれていることと思います。  〔資料提示〕  一方で、厚生労働省が令和3年に公表した資料によれば、新規高等学校卒業者の約4割が3年以内に離職しているというデータが示されています。  高等学校の卒業の段階では、就職先となる企業等について、生徒の理解が不足しており、実際に働き始めてから、業務内容と自分の適性にミスマッチが生じることなどが早期の離職につながるとのことです。  職業選択については、生徒が自らの人生を切り開いていくために、主体的に考え、自ら選択、判断し、進路決定をしていくことが大切であることは言うまでもありませんが、各学校には多くの求人があり、そのたくさんある求人票の中から、自分に合った就職先を見つけるというのは、生徒の皆さんにとって簡単な作業ではないと思います。  先日、県内の高校を訪問する機会がありましたが、今年の7月以降に学校に届いた求人票は1,600枚を超えていると伺いました。それを担当の先生がファイルに整理して、就職を希望する生徒に公開をするという作業は、先生方にとっても大きな負担になっているのではないかと感じました。  そうした中、最近は、各学校に届いた求人票をデータ化し、生徒のスマートフォンなどからも閲覧ができるシステムを導入している学校があるということを伺いました。  コロナ禍の影響もあり、世の中のあらゆる分野においてデジタル化が進められる中で、膨大な量の紙の求人票から就職先を探すといった従来のスタイルに比べると、自分のスマートフォンなどを活用して、どこでも求人票を閲覧できるという新しいスタイルは、生徒の主体的な職業選択につながり、ひいては、早期離職の減少にもつながるのではないか、そのように考えます。  そこで、教育長に伺います。  高校生の就職活動へのデジタル技術の導入について、教育長の御所見を伺います。  〔資料提示〕  質問の第9は、車両及び運転者を特定しない通行禁止道路通行許可の手続について伺います。  交通規制は、道路における危険を防止する上で必要不可欠なものであり、県警察におかれましては、交通実態や道路環境を踏まえ、適切な規制を実施していただいていると認識しています。  特に、通学路や生活道路等においては、人優先の歩行空間を整備するための手法の一つとして、車両の通行を禁止する交通規制を講じていると承知しています。  通行が禁止された区間内にお住まいの方々が、御自宅前の道路を車で通行するためには、警察署長に通行許可申請を行う必要があることはよく知られています。一方、車をお持ちでない身体障害者等の方々が、タクシーなどの送迎車を利用する場合において、車両及び運転者を特定しない形で通行許可申請を行うことができることは、まだまだ県民の皆様への周知が十分ではないと感じています。  実は、私自身、この通行許可制度を知ったのは最近でした。先日、ネットを検索していると、他の都県の警察のホームページで、車両及び運転者を特定しない通行許可の申請案内を見つけ、神奈川県警察のホームページを調べたのですが、そのような記載はありませんでした。  こうした現状に対して、先般、県警察に対し報告をしたところ、早速ホームページを更新していただきました。  しかしながら、ホームページを更新しただけで、県民への周知につながるとは考えられません。具体的に、外出を必要とする身体障害者等の方々や、送迎の依頼を受けるタクシー業界等の事業者に対しても、この制度について、さらなる周知拡大を図る必要があると考えます。  あわせて、県警本部のホームページは更新されたものの、警察署によっては、いまだにホームページが更新されていないところもあることから、申請を受け付ける各警察署に対しても、改めての徹底をお願いいたします。  また、通行許可手続については、一部、オンライン化が進んでいることは承知しておりますが、現状においては、申請や許可証の受け取りのために、窓口に足を運ばざるを得ない状況にあることから、許可証のオンライン交付等を含めた申請者の利便性向上のために、オンライン化のさらなる整備にも取り組んでいただきたいと考えております。  そこで、警察本部長に伺います。  県警察における車両及び運転者を特定しない通行禁止道路通行許可申請に係る利用者、タクシー業界等への周知方針について伺います。また、通行禁止道路通行許可を含めた通行禁止道路通行許可手続の利便性向上に向けた今後の県警察の取組方針について、警察本部長の御所見を伺います。  以上をもちまして、私の第1回目の質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 西村議員の御質問に順次お答えしてまいります。  初めに、ウィズコロナの医療に向けた県民理解の促進についてお尋ねがありました。  今後の新型コロナウイルス感染症の対応については、データに基づき、ウイルスの特性や病床の現状などを説明し、県民の皆様の御理解を頂きながら進めていくことは重要です。  例えば、60歳未満の致死率は、デルタ株の0.08%に対し、オミクロン株では0.01%まで低下しています。また、重症化率についても、ピーク時の入院者数に占める重症者の割合をデルタ株と比較しますと、オミクロン株は約4分の1に低下しています。  こうしたデータに基づき、ウイルスの特性等を丁寧に説明することで、県のコロナ対応の見直しについても、御理解いただきやすくなるのではないかと考えています。  また、コロナ患者の入院を担う医療機関に行ったアンケートでは、約70%は昨年夏の第5波において、コロナ以外の疾患の入院や手術を延期したことが分かりました。これは、医療資源が限られる中、コロナ対応を進めた一方で、コロナ以外の疾患に関する医療が制限されたことを示しており、こうした実態も、データを提示しながら説明していく必要があります。  そこで、データに基づき、ウイルスの特性の変化や、コロナが一般医療に与えた影響を新たに県のホームページで公開していきます。また、LINEパーソナルサポートなどのSNSでも、データに基づく情報を積極的に発信していきます。  こうしたことにより、県民の皆様に、コロナに対する理解を深めていただき、ウィズコロナを見据えた保健医療提供体制を構築していけるよう、取り組んでまいります。  次に、大規模災害時における支援物資の円滑な供給についてお尋ねがありました。  大規模災害時に、被災地に迅速に支援物資を届けることができるよう、民間事業者と連携し、供給体制を整備することは大変重要です。  県では、支援物資の滞留が課題となった東日本大震災を契機に、民間団体との連携強化を進めてきました。物資の輸送等に関する協定を締結した団体は、震災前の6団体から18団体に拡大しています。  中でも、県トラック協会や倉庫協会、大手輸送事業者との協定では、物資の輸送や保管に加え、集配等の知識や技術を有する専門家や、フォークリフト等の資機材の協力をいただく体制を整えています。  また、民間との連携を図るためには、訓練も重要です。県はこれまで、ビッグレスキューなどで、民間団体と連携した支援物資の輸送訓練を重ねてきました。  さらに、近年、協定締結が増えている大型物流倉庫を、災害時に物資の集配を行う広域物資活動拠点として活用するための訓練の充実も図っています。  本年8月に実施した訓練では、協定事業者の倉庫を拠点に物資を受け入れ、輸送車両に積み替え、避難所に輸送するまでの一連の作業を職員が実践し、物資拠点の運用手順や課題の確認を行いました。  この経験を踏まえ、民間が有するノウハウや人員、資機材などの資源を物資拠点の運営に効果的に生かせるよう、今後、専門家の助言も頂きながら、マニュアル整備や訓練の一層の充実に努めていきます。  県としては、こうした取組に加え、物資輸送に関わる協定事業者が一堂に会する、災害救助に係る連絡会議などを通じて、平時から課題の共有や、顔の見える関係づくりに努め、災害時の円滑な物資の供給体制の強化を図ってまいります。  次に、障がい者差別解消に関する取組の充実についてお尋ねがありました。  条例の議論が始まった昨年9月以降、私は、障害当事者の皆さんとの対話を重ね、その中で、同じ一人の人間として尊重されていないといった切実な訴えを伺ってきました。  また、県民の皆様からは、障害のことを知らないから差別につながるといった声を頂いており、まだまだ障害者への差別や偏見による心ない言動や配慮を欠いた対応が存在していると認識しています。  障害者に対する差別や偏見は、決して許されるものではありません。当事者目線障害福祉推進条例案では、差別解消を大きな柱の一つに置き、障害を理由とする差別を禁止することを明確に規定しました。  また、障害者差別解消法では、障害者から申出があった場合に、合理的な配慮を行わなければなりませんが、条例案ではさらに踏み込み、申出がなくても、事業者等は積極的に合理的な配慮に努めることを規定しました。  県はこれまで、差別解消に向けた普及啓発や、企業など事業者における障害者への理解促進の取組の中心となる人材として、心のバリアフリー推進員の養成を進めてきました。今後、心のバリアフリー推進員の取組の強化に向けて、企業が社内研修を行う際に、県から、障害当事者の講師を派遣するなど、フォローアップを進めていきます。  また、条例の実効性を担保するために、差別を受けた場合の相談窓口の設置や、紛争の解決を図るための体制整備に向けた検討を進めていきます。  県は、今後も障害者差別の解消に全力で取り組み、誰もがその人らしく暮らすことのできる地域共生社会の実現を目指してまいります。  次に、困難な状況に置かれている女性への支援についてお尋ねがありました。  まず、若年被害女性支援についてです。  女性が社会生活を送る上での課題は、性暴力・性犯罪被害、DVや貧困など、多様化、複雑化しています。特に、若い女性は、自ら悩みを抱え込み、問題が顕在化しにくいといった課題が指摘されています。  県では、若年女性を含め、様々な不安や生活上の課題を抱える女性が相談しやすいよう、ワンストップ総合相談窓口として、大船駅の近くに、かながわ女性相談室を令和3年8月に開設しました。  この相談室では、電話やメールによる相談だけではなく、行政窓口等への同行支援や、自宅等への訪問などのアウトリーチ支援も実施しています。また、今年度から、民間団体と連携した若年女性向けのシェアハウス事業をかながわボランタリー活動推進基金21協働事業として開始し、住居提供とともに、メンタルケアやキャリア支援などを実施してきました。  しかし、相談室では、若年女性からの相談件数が少なく、必要な支援につながっていないことが課題となっています。また、相談につながった後の自立に向けた継続的な支援体制が、まだ不足しているのが課題です。  そこで、若年女性支援を強みとしている民間団体との連携を強化し、どうしたら若年女性を支援につなぐことができるのか、自立に向けた居住支援や伴走支援の方法など、支援策の充実に向け、検討を進めます。また、相談室に確実につなぐための効果的な周知方法についても検討していきます。  今後も、様々な困難を抱える若年女性の悩みにしっかり寄り添うため、民間団体と行政が密接に連携し、それぞれの強みを生かした公民協働による支援体制の充実を進めてまいります。  次に、困難な状況に置かれた妊婦への支援についてです。  全ての妊婦が、妊娠期から必要な支援につながり、安心して出産を迎えることができることは重要です。  支援が必要な妊婦、いわゆる特定妊婦については、市町村が支援プランを作成した上で、様々な相談窓口につなげています。加えて県では、そうした妊婦を早期に把握できるよう、市町村と産科医療機関が情報を共有する体制づくりに取り組んでいます。  こうした取組により把握した特定妊婦については、市町村の要保護児童対策地域協議会につないで、母子保健や児童福祉の関係機関と連携して対応しています。  また、予期せぬ妊娠などの悩みを抱える方のための相談窓口として、妊娠SOSかながわを設置しています。この窓口では、悩みや不安を聞き取り、助言を行うとともに、必要な場合には、医療機関などに同行する仕組みをつくっています。  しかしながら、妊娠したことを周囲に相談できず、支援につながらない困難な状況に置かれた妊婦が少なからず存在し、その実態も把握し切れていません。こうした妊婦は孤立しているため、一人で出産した直後に子供を死亡させるなど、痛ましい事案につながることが懸念されます。  そこで、県では、こうした困難な状況に置かれた妊婦を支援するため、県の本庁、保健福祉事務所、児童相談所、そして、市町村などの職員で構成する実態把握の調査チームを速やかに立ち上げます。  この調査チームでは、妊婦健診の未受診や飛び込みによる出産など、支援につながっていなかった事案の調査に着手し、実態把握に努めます。さらに、悩みを抱える妊婦に、妊娠SOSかながわの情報が届くことが重要であり、その周知の強化を図っていきます。  こうした取組を進め、誰一人取り残すことなく、妊婦が安心して出産でき、子供の命が守れるよう、しっかりと取り組んでまいります。  次に、筋電義手のさらなる促進についてお尋ねがありました。  筋電義手は、自分の意思で動かせるという優れた機能を有しており、その普及促進は大変重要です。私も、利用者から、世界が変わったという声を聞いており、ぜひ普及を進めたいと考えています。  特に子供は、早期に訓練を開始すれば、両手を使った自然な動作が身につき、進学や就職等の将来の選択の幅も広がります。  県では、平成29年度から訓練を開始し、昨年度には、未来筋電義手センターを開設し、作業療法士を増員するなど、体制強化を図ってきました。  また、今年度からは、訓練用義手の確保のため、筋電義手バンクを立ち上げ、これまで約480万円の御寄附を頂いています。  一方、対象者に対して、小児科医など医療関係者からの働きかけが進んでおらず、訓練者は十数名にとどまっています。また、訓練者が増加した場合、それに対応できる義手を確保する必要もあります。  そこで、未来筋電義手センターの医師が小児科等関連医療機関の医師と連携し、対象者に積極的にアプローチできるよう、さらに体制を強化することを検討していきます。  また、多くの方に筋電義手について知っていただき、筋電義手バンクに御支援いただけるよう、積極的に広報を行います。  具体的には、利用者の御協力を得て動画を作成し、それを活用して、広く支援を呼びかけていきます。あわせて、国に訓練用筋電義手に対する補助の拡充を強く働きかけていきます。  こうしたことにより、子供や若者の夢をかなえる筋電義手の普及に向け、取り組んでまいります。  次に、新生児マススクリーニング検査の拡大についてお尋ねがありました。  新生児のうち、一部の先天性疾患を発見するマススクリーニング検査の普及促進は、早期の治療につなげることにより、病状の進行を遅らせることが期待できる取組として大変重要です。  新たに、脊髄性筋萎縮症、重症複合免疫不全症の2疾患を対象に加えた、いわゆる拡大検査は、本年4月から一部の産科医療機関で試行的に導入されました。  しかし、この拡大検査は、導入から間もないこともあり、まだ広くは知られていません。また、検査の実施期間が限られていることから、検査を希望する方が受検しやすくなるよう実施機関に関する情報提供を行うことも重要となります。  さらに、この拡大検査については、自己負担が発生するため、検査をためらう保護者の方もいますので、これを公費助成の対象とすることが、さらなる普及促進につながると考えています。  そこで、県では、拡大検査の内容、意義のほか、検査実施機関に関する情報を新たに県のホームページで提供するとともに、産科医療機関とも連携して、その周知を図っていきます。  また、自己負担となっている拡大検査についても、公費負担の対象とするよう、国に働きかけていきます。  こうしたことにより、拡大検査を普及させ、新生児の先天性疾患の早期発見・対策につなげられるよう、しっかりと取り組んでまいります。  最後に、リトルベビーハンドブックの策定についてお尋ねがありました。  低出生体重児の保護者の不安を解消し、安心して子育てができる環境を整えていくためには、保護者の気持ちに寄り添ったリトルベビーハンドブックを策定し、有効な支援につなげていくことが大変重要です。  まず、ハンドブックをどのように策定し、活用していくかについてです。  策定に当たっては、保護者団体のほか、地域の保健師やNICUの医師など有識者で構成される検討会で議論を重ねています。保護者は、言葉の使い方一つ一つについても、様々な御意見をお持ちであるため、事前に保護者を中心とした部会を開催し、御意見を十分に聴取した上で、検討会を行っていきます。  また、このハンドブックを有効に活用していただくためには、支援者に内容をよく理解していただく必要があります。そこで、保健師などがハンドブックを活用して、保護者の気持ちに寄り添った支援ができるよう、研修を実施する予定です。  次に、低出生体重児とその御家族への理解の促進についてです。  低出生体重児や、その御家族への支援を広げていくためには、まず、早産で生まれたお子さんのことを理解していただくことも重要です。そこで、11月17日の世界早産児デーに合わせた関連イベントの周知などを行っていきます。  こうしたことにより、低出生体重児の保護者も含め、誰もが安心して子育てのできる環境を整えていけるよう、しっかりと取り組んでまいります。  私からの答弁は以上です。  〔教育長(花田忠雄)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 花田教育長。 ◎教育長(花田忠雄) 教育関係についてお答えします。  高校生の就職活動へのデジタル技術の導入についてです。  就職を希望する高校生にとって、企業からの求人票は、職業選択に当たって大変重要な情報です。また、学校に寄せられる膨大な求人票の中から、生徒の適性や希望にかなう企業を見いだすために、デジタル技術を活用することは有効です。  現在、本県では、県立高校16校で求人票をデジタル化し、スマートフォンなどで閲覧できるシステムを試行導入しています。これにより、生徒は、エリアや職種など様々な検索によって並び替えた求人情報を見ることができ、家庭で保護者と端末を見ながら相談するといった活用もされています。  また、進路指導の教員は、求人票をスキャナーでデータ化し、システムに取り込むことで作業が終わり、これまで1件ずつ行っていたデータ入力の負担が軽減されています。  一方で、データ化に当たり、文字の読み込みが完全ではない場合もあり、教員が内容を確認しながら、必要に応じ、データを修正する作業も生じています。  こうした成果や課題について、システムを試行導入している高校から意見を聞き取り、進路担当の教員が集まる会議で共有していきます。その上で、システムの導入を希望する学校が多い場合は、本格的に求人票のデジタル化を進めるため、県教育委員会として、事業者と調整を図っていきます。  県教育委員会としては、こうした取組を通じて、デジタル技術の導入を進め、高校生の就職活動をこれまで以上に支援してまいります。  私からの答弁は以上です。  〔警察本部長(林  学)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 林警察本部長。 ◎警察本部長(林学) 車両及び運転者を特定しない通行禁止道路通行許可の手続についてお答えいたします。  通行禁止道路通行許可は、原則、通行する車両及び主たる運転者を特定して行っておりますが、身体に障害がある方等がタクシー等を利用して通行禁止道路を通行する場合、要件に該当していれば、車両及び運転者を特定することなく、通行許可を受けることができます。  この要件としましては、申請者が通行禁止道路を、車両を利用して通行すべき相当の事情があること、申請者が事前に使用する車両及び運転者を特定することができない、やむを得ない理由があることです。  県警察では、かねてより、この通行禁止道路通行許可制度を運用しているところですが、改めて、身体障害者関係団体やタクシー等の業界団体に対し、警察本部の担当者が制度について説明することとしております。  また、県内各警察署におきましても、この通行禁止道路通行許可の申請に対し、適切な受理と許可証の交付を図るため、引き続き、署員に対する指導教養に努めてまいります。  現在、通行禁止道路通行許可の手続につきましては、原則、当該道路を管轄する警察署へ来庁して申請いただき、再度、許可証の受領のため、来庁していただいております。ただし、過去に許可がなされている場合は、オンラインによる申請手続を行うことも可能ですが、この場合であっても、許可証の受領については、管轄する警察署へ来庁していただく必要があります。  この点につきましては、現在、国において様々な行政手続のオンライン化の推進に取り組んでいると承知しており、県警察といたしましては、その動向を踏まえ、一層の利便性向上を図ってまいります。  以上でございます。  〔西村くにこ議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 西村くにこ君。  〔西村くにこ議員登壇〕 ◆西村くにこ議員 知事、教育長、そして、警察本部長、御答弁ありがとうございました。  1点、再質問をさせていただきたいと思います。  障がい者差別解消に関する取組の充実について、それに関連して、質問させていただきたいと思うのですが、神奈川県当事者目線障害福祉推進条例案では、差別解消についてしっかりと認識して、規定していただいているということを理解いたしました。  今後の取組には大いに期待をしているのですが、せっかく当事者目線というところに重きを置いたこの条例を当事者、障害者の皆様にはしっかりと読んでいただく、理解していただく、こういうことが重要だというふうに考えます。  そこで、障害者への条例の周知について、どのように取り組んでいこうと考えていらっしゃるのか、伺いたいと思います。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) それでは、再質問にお答えいたします。  障害当事者の皆様からは、そもそも、条例の条文自体、難しくて分からないといったお話を頂いております。そこで、障害者はもとより、誰もが分かりやすく読むことができる条例の分かりやすい版、これを障害者主体で作成し、条例の公布と合わせて発信していきたいと考えております。  分かりやすい版は現在、多くの障害者、当事者の皆様に御参加いただきまして、作成作業を進めているところであります。イラストを入れるなどの工夫をしながら進めています。  また、条例そのものについては、点字版でありますとか、音声読み上げ版なども作成して、視覚障害者の方への周知も行ってまいりたいと考えております。  答弁は以上です。  〔西村くにこ議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 西村くにこ君。  〔西村くにこ議員登壇〕 ◆西村くにこ議員 御答弁ありがとうございました。  今後は、条例の周知に終わらずに、様々な情報について分かりやすい版があったらいいのにというふうに思いながらお話を伺っていました。分かりやすい版を提供するのではなく、当事者の方々に作成をしていただく、これは全国でも、多分私、初めてではないかなというふうに思うのです。こういった取組を、例えば、これまでも外国籍県民等を想定した分かりやすい日本語での広報に取り組まれてきたことは周知をしているんですが、例えば、担当の部局それぞれの情報だけではなくて、この障害者分かりやすい版というのを、当事者目線の分かりやすい版というのを一つの基本というか、そういった形として、当事者の方々がつくり出す、あるいは精査をする、分かりやすい広報の取組が全庁的なものになるように希望をしていきたいと思います。  残された時間で、要望を申し上げてまいりたいと存じます。  まず、ウィズコロナの医療に向けた県民理解の促進について申し上げます。  データの公開をしていただく、それを基に説明をしていくのだという御答弁を頂きました。  データの検証を基に、県民に対し、明確に次なるステージを示すことができれば、信頼と安心の下での指標になる、また、本県のみならず、全国をリードできる神奈川モデルの構築につながるのではないかというふうに期待をしております。  本県が進めてきたヘルスケア・ニューフロンティアの成果が試されるとも言えると思います。今後は、データの公開にとどまらず、データ検証をなさって、より正確に発信をされますように期待を申し上げてまいります。  次に、大規模災害時における支援物資の円滑な供給について、質問させていただきました。  大規模災害発災時に道路交通網がどんな影響を受けるか、様々な事態を想定すれば、現在の5か所の物資拠点で十分でないことは明確であろうかというふうに思います。  我が会派はこれまでも、民民での連携というのを訴えてまいりました。大型車が出入りをできる物流倉庫、あるいは輸送、運搬を担う民間業者の方々の御協力を得て、万が一に備えた様々な施策、こういったものを想定されることを求めておきたいと思います。  若年被害女性支援については、相談件数が少ないという、御答弁の中でもございました。では、なぜ相談件数が少ないのだろうか。  先日、若年女性支援の活動をされている県内の民間団体のお話を伺ったところ、一人一人にマッチした支援というのがないのではないかというような声を頂きました。例として、県内のある自治体での話なのですが、女性相談員が相談者である若い女性に対してお説教するような感じで対応されていたのだそうです。結論から言うと、その若年女性は怖がって支援につながることを拒否されたというふうに伺いました。  売春防止法を根拠法とした保護更生から、新法の施行に伴って、福祉増進へ転換されるということが改めて認識をされなければならないのだろうというふうに考えます。県には、県内の女性保護事業に関わる人材の育成、拡充を求めておきます。  次に、困難な状況に置かれた妊婦への支援について、改めて調査をする、そういうチームを立ち上げていただけるということで、ありがとうございます。  改めて言うまでもなく、例えば教育委員会、児童相談所、婦人保護施設、市町村、要対協、母子保健、いろいろなところが関係をすると思いますが、これも、県内の児童保護施設の理事長のお話を伺いに行きました。  その施設で育った女の子が18歳で退所して、妊娠をして子供を産んで、その子供がまた同じ施設で育っているという事例を伺いました。そうなると、やはり、多角的な方向からの支援、応援が必要なのではないでしょうか。母になる子供と生まれてきた子供、その双方に寄り添う支援体制が求められていると実感しました。  家庭環境や経済的な理由から、居場所がない妊婦のシェルターのような施設が存在をして、最もデリケートな産前産後を通じて、母子の未来を安心してゆっくり考えられるような仕組みが、本県にも構築されるよう強く要望をしておきます。  筋電義手のさらなる普及促進、御提案をさせていただいた動画については、知事も大きな賛同を頂いて、ありがとうございます。  民放の24時間やっている夏の番組で、動画を見たとき、私も感動しました。何と前向きに、あのお父さんがお話しになっていたんですよね。動くことになったというよりか、お嬢さんが前向きになったということを大きく評価をされていた。せっかく全国にも数少ないリハビリ施設ができているのですから、多くの方々が通っていただける体制の充実を求めていきたいと思います。  また、リトルベビーハンドブック、全国から注目をしていただいています。研修を実施して、市町村でそれぞれに直接当たる保健師の方々に、いろいろな情報を提供していただける。そしてまた、早産児デー、11月17日に向けてのイベントも、県のほうも御協力をいただけるということです。  小さな命を大切に育む、そんな神奈川の未来の構築を希望いたしまして、私の代表質問を終わります。  ありがとうございました。                               〔拍 手〕 ○議長(しきだ博昭) お諮りいたします。  休憩いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(しきだ博昭) 御異議がないと認めます。  よって、休憩いたします。  なお、再開は20分後といたします。                  午後2時5分 休憩       ───────────── ◇ ─────────────
    △《本会議録-令和4年第3回-20220913-029286-質問・答弁-石田和子議員-代表質問①障がい者の人権を守る県政に②安心安全な保育所について③物価高騰に対する医療機関、高齢者施設等への補助について④新型コロナウイルス感染症対策について⑤がけ地近接等危険住宅移転事業について》                   午後2時25分 再開   〔議会局長報告〕  出席議員 議長共97名 ○議長(しきだ博昭) 休憩前に引き続き、会議を開きます。   ─────────────────────────────────────── ○議長(しきだ博昭) 質問を続行いたします。  石田和子君。  〔石田和子議員登壇〕(拍手) ◆石田和子議員 日本共産党の石田和子です。  日本共産党県議団を代表して質問をいたします。  〔資料提示〕  初めに、障がい者の人権を守る県政について伺います。  「当事者目線障害福祉推進条例案」についてです。  本年第1回定例会に報告された同条例骨子案に対するパブリック・コメントが4月7日から5月6日まで実施されましたが、寄せられた610件の意見要旨と県の考え方の報告がないまま、第2回定例会の厚生常任委員会に条例素案が報告されました。8月15日に、それらが県のホームページに公表されましたが、本来なら、少なくても、素案と一緒に示されるべきでした。以下、順次伺ってまいります。  まず、条例制定の理念と基本原理をうたう前文について、パブコメの意見が多数寄せられました。委員会で私は、2008年発効の障害者権利条約に言及し、規定されている障害者の人権や基本的自由の享有を確保し、社会の一員として尊厳を持って生活する権利の実現、及び2016年に施行された障害者差別解消法の理念を入れることを求めました。  また、政策立案過程への障害者の参加としていることについて、私たちは、障害者権利条約の大切な柱であり、障害者の皆さんの強い願いである「私たちのことを私たち抜きに決めないで」の声を実行するために、当事者が参画する条例検討委員会の設置を求めてきました。パブコメの意見にも、受動的な印象のため参画としてほしい、努めるものとするでは推進されないなどが多数あります。  そこで、知事に伺います。  障害者権利条約や障害者差別解消法の理念を条例の前文にどのように反映させたのか伺います。また、計画段階から意見を述べ、主体となって関わるために、参加にとどまらず、参画を条例に反映することについて、どのように考えるのか、見解を伺います。  次に、条例素案では、条文の肝となる部分の多くを努力規定としていますが、障害者差別解消法などにのっとり、義務規定にすることを求めました。パブコメでも同様の意見が多数ありました。  具体的には、一つ、障害を理由とする差別、虐待などの禁止については、端的に、尊厳を害する行為を禁止するとか、不当な差別をしてはならないなどと明記すべきです。  二つ、障害を理由とする差別に関する相談、助言等及び、権利条約の大事な柱である社会的障壁の除去についても、義務規定にすべきです。  三つ、財政上の措置を講じるよう努めるものとするとしていますが、条例にのっとった施策を実施するには、今後、基盤整備や人材の確保、メニューの拡充も必要です。財政上の措置を講じると義務規定とすべきです。  そこで、知事に伺います。  障害福祉を強力に推進するためには、今述べた3点について、努力規定でなく、義務規定にすべきと考えますが、それぞれについて見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、障がいのある方が地域で安心して暮らせるための人材確保についてです。  障害のある方が必要な支援を受けながら、希望する場所で暮らす上で、地域活動支援センターやグループホームの果たす役割がますます重要です。  県は、地域移行を強く打ち出していますが、それには、支えるスタッフの確保と継続して働き続けられる環境整備が前提となります。  日中活動を支える地域活動支援センターは、ここ数年の最低賃金の上昇や物価高の影響を受けて、運営が逼迫していると聞きました。  2005年、自立支援法施行時に国が示した運営に係る市町村基準額は、その後、一度も改定されていません。地域活動支援センターとして5年以上、実利用人員10名以上の3型で言えば、国庫補助追加加算標準額は150万円、地方交付税による自治体補助事業は600万円のままです。  一方、神奈川県の最低賃金は、2005年度、時給712円から2021年度1,040円と1.46倍に引き上げられています。スタッフに対し、最低賃金の上昇に対応したくても、17年前のままではとても厳しく、引上げを求める強い要望があります。  また、地域で暮らすためにグループホームを増やすことが必要ですが、人材がいつも足りない、賃金が上がらず、働き続けたくても続けられない、多くの職種で成り立つ障害福祉サービスですが、報酬の処遇改善加算の対象にならない職種があるのは不公平だとの声があります。  そこで、知事に伺います。  地域活動支援センターについて、国に対して国庫補助金追加加算標準額と、地方交付税による自治体補助事業の増額を求めるべきと考えますが、見解を伺います。また、県として、全職種を含めた処遇改善加算になるよう、国に要望すべきと考えますが、伺います。  〔資料提示〕  次に、安心安全な保育所について伺います。  まず、保育所の実地監査についてです。  保育施設は、乳幼児が長時間生活する成長にとって大切な場所です。保育所には、原則、都道府県による年1回の実地監査が義務づけられています。ところが、厚生労働省は、実地監査を義務づける児童福祉法施行令を改正し、本年4月から実地要件を削除し、書面やリモートを可能とすることを提示しました。  しかし、パブリック・コメントでは、反対意見が多数に上り、厚生労働省は、本年4月からの実施を延期しました。その後、実地監査を原則としつつ、天災などで実施できない場合や、前年度の監査で問題ないケースなどは、実施しなくてよいとする考え方を示しましたが、実地監査をしなくてよいという根拠にはなりません。  パブコメの意見には、実地監査の重要性を訴える意見が多数を占めました。実地監査は、施設の臭いや汚れ、整理整頓の欠如、2方向避難路が確保されているか、給食が献立どおりに調理されているのか、保育指針に基づく保育がされているかの視点が重要であり、子供や職員の表情など、現場で得られる情報は、書類の比ではありません。乳児は、何か問題が起きても、誰かに伝えるすべがないのです。  7月には、大手保育企業が都内の16の施設で保育士の人数を水増しして報告し、過大な運営費を不正受給した事件が発覚しました。  9月5日、送迎バスに置き去りにされて園児が亡くなるという痛ましい悲劇がまた起こりました。  散歩先の公園に置き去り事案も増加をしています。確認や点検という基本がおざなりになっている背景に、保育現場の深刻な人手不足を指摘する声もあります。  子供の命と安全をどう守るのかが問われており、実際の職員の配置が適切かなど、現地監査が大変重要です。  新型コロナウイルス感染症が発生する前年の2019年度の認可保育所の実地監査の実施率は74.4%、認可外は65.3%、幼保連携型認定こども園は、さらに低い実施率です。  そこで、知事に伺います。  実地監査の重要性の認識と、今後、実施率100%を目指すべきと考えますが、見解を伺います。また、保育所の増加に対応し、現場の保育の実態を見極める専門性と監査体制が重要ですが、どのように体制を拡充していくのか、伺います。  〔資料提示〕  次に、保育士の配置基準の改善についてです。  イギリスでは、ゼロ歳から2歳児は保育士1人に子供3人、1対3の基準で、四、五歳児は1対8ですが、日本では一、二歳児は1対6と55年前のまま、四、五歳児は1対30で、74年前のままです。  こども家庭庁をつくり、こどもまんなか社会を実現するというのであれば、保育士の配置基準の改善は最重要の政策課題であり、直ちに改善すべきです。  労働基準法は1日8時間、週40時間労働を原則としています。一方、保育所は1日11時間、週6日、66時間開所、これが基本です。長時間の保育において、公定価格に基づく保育士の人数では、休憩時間や配置基準など、法令を遵守してのシフトを組めません。  そのため、現場では公定価格の中で非常勤職員を雇い、人件費を抑えるなどして、保育士を最低基準の1.9倍の人員でやりくりをしています。それでも足りなくて、休憩時間が取れないという実態は労基法違反です。  2021年3月に発表した厚生労働省の保育分野の業務負担軽減・業務の再構築のためのガイドラインには、休憩中に書類などの業務を行っているために、実際には休めていないなど、休憩時間が取れない声が紹介されています。保育士が休憩を確保することは、保育の質の向上の観点からも重要です。一人一人の子供の成長と安全に関わる問題です。  そこで、知事に伺います。  一、二歳児の配置基準が1対6、四、五歳児が1対30で、一人一人の子供に応じた発達の援助が丁寧にできると考えるか、伺います。  また、公定価格に基づく保育士の人数で、休憩時間や配置基準など、法令を遵守して長期間保育のシフトを組めると考えるか、伺います。  さらに、配置基準を引き上げることを国に要望するとともに、県として加配を検討すべきと考えますが、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、物価高騰に対する医療機関、高齢者施設等への補助について伺います。  食材費、光熱費、ガソリン代などの高騰で、医療機関や高齢者施設、障害者施設、保育所などから、運営が逼迫しているとの訴えが届いています。  デイサービスの入浴介助サービスや利用者の送迎の打撃が大きい。食材は見切り食品を購入している。ある公益財団法人の医療機関は、電気代が1年間で2,000万円も増える、値上げが厳しいのに診療報酬が上がらないなどです。  厚生労働省は6月7日、地方創生臨時交付金を各自治体の判断で、物価高騰の負担軽減に活用してもよいとの事務連絡を発出しました。  高齢者施設には、大阪府や愛知県が通所系や訪問系の事業者対象に燃料費補助を実施、愛知県は、保育所給食も対象にしました。平塚市の学校や保育所への食材費の高騰補助など、幾つもの自治体が実施をしています。  そこで、知事に伺います。  県の地方創生臨時交付金の残額65億円を活用して、医療機関や福祉施設、保育所などに、物価高騰等に対する補助を検討すべきと考えますが、見解を伺います。  また、本来は、国の財政措置の拡充が必要であり、診療報酬や介護報酬の引上げを国に求めるべきと考えますが、見解を伺います。  〔資料提示〕  次に、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。  初めに、検査体制の拡充と健康観察についてです。  第7波の新規感染者数は過去最多となり、8月1か月間の全国のコロナによる死者数は、過去最多だった2月の1.5倍、7,000人超でした。  本県の病床利用率は8月9日、全国で最も高い98%、医療従事者や介護従事者の感染者や濃厚接触者が増えて出勤停止職員が増大し、通常医療への支障や救急困難事例が多発しました。発熱外来は電話がつながらない、また、高齢者施設のクラスターの発生や、訪問介護シフトが崩壊する事態になり、高齢のコロナ感染者が介護難民になるという深刻な事態が報道をされました。  現在、減少傾向ではありますが、予断は全く許されません。今やるべきは、こうした厳しい事態に対する早期発見、早期治療の対策であり、まずは感染症対策の基本である検査体制を拡充すべきです。  しかし、県は、8月12日、新型コロナ感染症を通常の医療に落とし込むために、ステップを踏んで変更する新型コロナウイルス感染症の保健医療体制を日常体制へ近づける考え方を早々に示しました。  健康観察の変更案では、保健所等の負担軽減のために、自宅療養者全員にしていたAI音声による健康観察の対象を重点観察対象者─ハイリスク者に限定し、次のステップでは、これも全てなくすとしています。保健所からの初回連絡も行わないとしています。  自宅療養中に容体が悪化して、搬送後死亡という事例、東京では、20代の基礎疾患がない男性が軽症で自宅療養中に死亡しましたが、こうした事例が全国で後を絶ちませんでした。こうした事態を防ぐために、容体悪化や重症者を見逃さない健康観察が必要です。  そこで、知事に伺います。  検査体制を拡充するために、県内数か所で無料の検査センターを整備するほか、医療や介護現場の頻回、定期的検査を実施すべきと考えますが、伺います。  健康観察については、自宅療養者や宿泊療養者の容体悪化をどのように把握し、早期受診につなげる仕組みをどのように確保するのか、伺います。  〔資料提示〕  次に、保健所及び医療体制の逼迫を繰り返さない対策についてです。  コロナ禍の下、脆弱な医療体制、保健所体制が明らかになり、私たちは、こうしたことがないように、感染症医療とともに、通常医療や救急医療に支障を来さない、余力のある医療体制や保健所体制の強化が必要と、この間求めてきました。  県は6月、新型コロナウイルス対応に係る検証と国への提言を行いました。県がコロナで顕在化した保健医療提供体制の問題点を挙げている中で、私が重要と思ったのは、一つは、日本の医療機関は民間中心で、公的医療機関が少なく、平時に最適化された経営を求められてきたため、有事に必要な健康危機管理対応を行う余裕を持てない状態であったこと、二つは、感染症に対応できる医師、看護師などの人材不足のほか、クラスターが多発した高齢者施設などを含め、感染症のノウハウを備えた看護助手や介護従事者も大幅に不足し、医療・介護提供体制の維持に支障を来したこと、三つが、健康危機に際して、平時に最適化されている自治体、保健所では、危機管理に対応する体制がつくれなかったと検証をしていることです。  〔資料提示〕  この間、コロナ禍で感染急拡大が繰り返されるたびに、医療や保健所の逼迫が繰り返されました。この背景には、本県の絶対的な医師、看護師、保健師数の不足があります。  2020年12月の人口10万人当たりの医師数は全国39位、看護師数、保健師数は47位と全国最下位です。この不足の改善を図る対策こそ、有事にあっても、県民に医療や保健所機能を果たすことが可能になることにつながると考えます。  そこで、知事に伺います。  コロナ禍の下、明らかになった医療提供体制の脆弱さを解消するために、本県として、医師、看護師数などの体制強化をどう図るのか、伺います。  保健所体制の強化についても急がれます。保健師の増員を図るべきですが、伺います。  〔資料提示〕  次に、後遺症対策についてです。  オミクロン株の後遺症は、従来株の症状から変化し、倦怠感、頭痛、認知機能が低下するブレインフォグなどの症状に長期間苦しむ方が多いとのことですが、後遺症の治療は日々研究され、知見が高まっていると聞きます。  また、東京都では、都立病院の外来を受診した後遺症患者の症例分析を行い、症状や留意点、コロナ後遺症相談窓口への相談などを呼びかけています。  4,000人以上の後遺症患者を診療してきた東京のヒラハタクリニックの平畑光一医師によりますと、このクリニックでは、休職を余儀なくされた患者が1,012人、退職・解雇を余儀なくされた患者が179人いるとのことです。平畑医師は、対策として、後遺症の診療医療機関を増やすこと、二つに、患者の生活のサポートが必要であること、三つに、周囲の理解が必要だと述べています。  〔資料提示〕  本県では、身近なかかりつけ医や近隣の医療機関で受診し、専門的な対応を要する場合、二次医療機関につなぐ仕組みを構築しています。また、専門外来を設ける医療機関の医師を講師として、症状や診断、治療方法などに関する医療機関向けの研修会を開催したと聞きました。  さらに、聖マリアンナ医科大学病院が後遺症外来の医療職と生活相談に乗るソーシャルワーカーが、治療と生活再建の両面で連携していると報じられております。  このように、取組が進んでいますけれども、何軒も病院を探した、ブレインフォグで苦しんでいるが周囲の理解が得られない、治療法の確立とともに、治療法の早急のシェアとアップデートが県内のドクター間でできるようにしてもらいたいなどの要望があります。  そこで、知事に伺います。  医療機関において診断や治療方法を導入するとともに、後遺症対応医療機関を増やす今後の取組について伺います。東京都のような症状分析を行うとともに、コロナ後遺症相談窓口を設置し、生活相談窓口にもアクセスできる仕組みが必要と考えますが、見解を伺います。  〔資料提示〕  最後に、がけ地近接等危険住宅移転事業について伺います。  今年も豪雨による土砂災害が全国各地で起きています。国は、崖崩れ、土石流などの危険から住民の命の安全性を確保するため、災害危険区域内にある既存不適格住宅などの移転に対して支援を行う、がけ地近接等危険住宅移転事業を設けています。  具体的には、土砂災害特別警戒区域、いわゆるレッドゾーン内にある住宅の除却費や移転経費、住宅建設や改修・購入費などへ補助します。  この制度は、国が2分の1を補助し、残りの2分の1を地方公共団体が負担するものとなっています。市町村が実施主体ではありますが、全国では、福岡県、熊本県、大分県、広島県、兵庫県、大阪府などは、崖地対策を強化するために、県が市町村と同率に補助をしております。  レッドゾーンを指定した県として、市町村に対し、財政支援を行う姿勢をまずは示して、市町村が対策を促進できるようにすべきと考えます。  神奈川県においては、急傾斜地、土石流、地滑りのレッドゾーンは、合わせて8,911か所、私の地元、川崎市では551か所指定されています。地球温暖化の影響で、今後もさらに自然災害が激甚化し、いつ大規模な土砂災害が起きるか危惧されています。  そこで、知事に伺います。  本県も広域自治体として、他県の例を参考に、市町村と連携して、がけ地近接等危険住宅移転事業を実施すべきと考えますが、見解を伺います。  以上で、初回の質問を終わります。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 石田議員の御質問に順次お答えしてまいります。  初めに、障がい者の人権を守る県政について、何点かお尋ねがありました。  まず、当事者目線障害福祉推進条例案に関する条例制定の理念と基本原理を謳う前文及び「政策立案過程への障害者参加」についてです。  本条例案の前文には、全ての障害者が自分らしく暮らしていくことができる社会環境の整備や、誰もが安心していきいきと暮らすことのできる地域共生社会の実現を掲げており、これは、障害者権利条約や障害者差別解消法の理念を反映させたものであります。  次に、政策立案過程への参画についてです。  当事者目線の障害福祉の推進に当たっては、障害者が社会生活を送る上で必要な分野、場面において、障害当事者自身が、様々な意見を表明できることが重要です。そこで、計画の策定に加わるといった限定的な関わり方を表す参画ではなく、様々な会議に広く関わることができる参加と規定しています。  次に、努力規定を義務規定とすることについてです。  まず、障害を理由とする差別、虐待などの禁止についてです。  本条例案では、差別、虐待その他の個人としての尊厳を害する行為をしてならないと明確に規定しています。  次に、障害を理由とする差別に関する相談、助言等については、相談体制その他必要な体制を整備するものとすると明確に規定しています。  また、社会的障壁の除去については、障害者差別解消法では、障害者から申出があった場合に、合理的な配慮を行わなければなりませんが、条例案では、法の規定にさらに踏み込み、努力規定ではありますが、申出がなくても、事業者等は積極的に努めることとしたところであります。  最後に、財政上の措置についてです。  財政上の措置については、施策の実施に当たり、県議会の議決による予算措置や国の制度見直しを要する事案もあるため、財政上の措置を講ずるよう努めるものとすると規定しています。  次に、障がいのある方が地域で安心して暮らせるための人材確保についてです。  まず、地域活動支援センターについてです。  障害者総合支援法に基づき、市町村が設置する地域活動支援センターについて、国では補助標準額を示し、これにより、市町村に補助を行っています。この補助標準額は、平成18年の制度創設時のまま据え置かれている上、昨今の原油価格や物価の高騰により、センターの運営は厳しさを増していますので、センターの実施主体である市町村の意向を伺いながら、今後、国に補助標準額の増額を求めることについて検討してまいります。  次に、障害者施設等従事者の処遇改善についてです。  国は、障害者施設等の従事者の賃金水準を引き上げるため、障害福祉サービスの報酬に上乗せする処遇改善加算を設けています。しかし、相談支援専門員などが対象となっていないことから、県は、障害者施設等に関わる全ての従事者が対象になるよう、引き続き国に要望してまいります。  次に、安心安全な保育所についてお尋ねがありました。  まず、保育所の実地監査についてです。  保育所に対する実地監査は、児童が適切な環境の下で、心身共に健やかに育成されることを保障する重要な役割を担っているものと認識しており、本来、実施率100%にすべきと考えています。  しかしながら、近年、待機児童対策による保育所の整備が進み、施設数が増加しているほか、新型コロナウイルス感染症により監査の延期を余儀なくされるなど、実地監査の計画的な実施に影響が生じています。  そこで、県では、子供の命に関わる施設整備や安全対策は現地で重点的に確認し、管理面などは、書面により、後ほど本庁で確認するなど、工夫を凝らしながら、現地を効率的に回ることとしています。  こうした実施方法の工夫とともに、保育士資格を有する職員が必ず現地に赴いて実態を確認するなど、専門性を確保した現行体制により、しっかりと実地監査を実施していきます。  さらに、国では、計画的な実地監査の実施に向けて、例外的に、現地に赴かない方法も検討していますので、県は、こうした国の動きを注視しながら、引き続き、施設の適正な運営と保育の質の確保に取り組んでまいります。  次に、保育士の配置基準の改善についてです。  配置基準は、国が児童の発達段階に応じて、児童の心身の安全を確保するために必要な人数を算定したものですが、実際に保育所が運営経費の給付を受けるには、国の公定価格の基準を満たすことが必要です。  公定価格は、例えば長時間保育を行う場合、基準に加え、常勤保育士1名の配置など、体制強化を求めています。こうしたことから、配置基準及び公定価格に基づく体制で、丁寧な保育の提供は可能であり、配置基準の引上げを国に要望することや、県独自の加配を行うことは考えていません。  次に、物価高騰に対する医療機関、高齢者施設等への補助についてお尋ねがありました。  まず、地方創生臨時交付金を活用した補助についてです。  医療機関や福祉施設は、診療報酬や介護報酬など、国が定める公定価格を基本に経営しており、物価高騰の影響を価格に転嫁することが困難なことから、早急な支援が必要です。  こうした問題は全国共通であり、本来、国が公定価格の改定等によって支援すべきと考えますが、その実現には一定の時間を要します。  そこで、今後、地方創生臨時交付金の本県への増額規模が示され、財源が確保された場合は、医療機関や福祉施設等への新たな支援策を早急に取りまとめ、追加の補正予算を編成したいと考えています。  次に、国への要望についてです。  医療機関等への支援は、本来、公定価格の改定により、統一的、継続的に対応されるべきであり、これまでも全国知事会などを通じて国に要望していますが、引き続き、機会を捉えて働きかけてまいります。  次に、新型コロナウイルス感染症対策について、何点かお尋ねがありました。  まず、検査体制の拡充と健康観察についてです。  初めに、検査体制の拡充ですが、県では、感染不安を感じる県民の皆様を対象に、現在、771か所で無料検査を実施しています。また、重症化リスクの高い高齢者が入所する施設等の従事者に対して、抗原検査キットを配布し、感染者の早期発見とクラスター抑止の取組も実施しました。  さらに、県が継続して要望してきた抗原検査キットのオンライン購入も可能となりましたので、御活用いただきたいと考えています。  次に、自宅療養者等への健康観察についてです。  県では、第7波における保健医療体制の逼迫を緩和するため、健康観察対象を重症化リスクの高い方に重点化しています。  こうした中、対象とならない方の体調悪化時には、相談窓口に、確実にアクセスできることが重要です。そこで、コロナ119の回線数や、相談に応じる看護師等を増やしており、現在の受電率は99%に達しています。  また、受診が必要な場合には、地域療養の神奈川モデルにつなげることも検討してまいります。  次に、保健所及び医療体制の逼迫を繰り返さない対策についてです。  今回のコロナ禍により、医師、看護師、保健師をしっかり確保していくことの重要性が再認識されています。  医師については、地域医療医師修学資金貸付制度により、毎年度20名の医師を育成し、医師の確保に努めています。  また、看護師については、修学資金の貸付けや養成機関への補助金に加え、今年度は、離職していた看護師を雇用する医療機関に対し、奨励金を支給しています。  さらに、保健師についても、通常の採用のほか、平成30年度から経験者採用を開始し、即戦力となる人材を確保しており、来年度以降も計画的な採用を行っていきます。  こうしたことにより、医療提供体制、保健所体制の強化に努めてまいります。  次に、後遺症対策についてです。  新型コロナウイルスの、いわゆる後遺症と呼ばれる罹患後症状について、県では、医療機関が連携して対応する仕組みを構築し、ホームページで主な症状等の情報や対応可能な医療機関を案内しています。  また、医療機関において、こうした罹患後症状の治療方法等の情報を共有するため、専門外来の医師による研修会を開催しました。対応する医療機関については、当初の120軒から、現在は200軒以上にまで増加しており、今後も積極的に参加を呼びかけ、拡充に取り組んでいきます。  症状分析については、国が作成した罹患後症状のマネジメントにおいて、最新の科学的知見を踏まえた分析が行われています。  また、新型コロナウイルス感染症専用ダイヤルに、生活支援の御相談があった場合には、暮らしや仕事の御相談に応じている県の生活支援総合相談窓口を御紹介します。  こうした取組を今後も実施していくことで、罹患後症状に悩む方々をしっかりと支援してまいります。  最後に、がけ地近接等危険住宅移転事業についてお尋ねがありました。  県では、土砂災害から県民の命を守るため、崖地付近にお住まいの方々から多くの要望を頂いている土砂災害防止施設の整備を進めており、県単独事業の予算を今年度から大幅に増額するなど、取組を加速化しています。  一方、危険な区域からの移転を促進するため、国は、がけ地近接等危険住宅移転事業という補助制度を設けています。この制度は、市町村が事業主体となり、実施するものですが、一戸当たりの補助額が約500万円にとどまっており、しかも、移転先の土地の取得や住宅の建設には充てられません。  こうした制約がある制度であり、昨年度、県内市町村に補助制度利用の意思を確認しましたが、既に実施している1市を除き、前向きな自治体はありませんでした。  しかしながら、現在、国において、より活用しやすい補助制度の検討も行われていると承知しており、改めて、補助制度の前提となる市町村の利用の意向を確認し、その結果を踏まえ、県としてどのような協力が可能か検討してまいります。  答弁は以上です。  〔石田和子議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 石田和子君。  〔石田和子議員登壇〕 ◆石田和子議員 それでは、再質問をさせていただきます。  初めに、当事者目線障害福祉推進条例案の努力規定を義務規定にすることです。  条例案は、第4条、県の責務で、県は、当事者目線の障害福祉に関する総合的な施策を策定し、これを実施する責務を有するとしました。また、素案では、障害福祉に係る人材の確保と育成については、努めるものとすると、そのときは努力規定でしたが、条例案では、人材の確保及び処遇の改善に資するための措置については、講ずるものとすると、義務規定にしたことは評価をしたいと思います。  しかし、財政措置については、努力規定のままとの御答弁でありました。  そこで、知事に伺います。  県は、総合的な施策を実施する責務を有し、人材の確保と育成を義務規定にしたのですから、実効性を担保するには、財政上の措置が必要であり、第27条の財政上の措置の規定を、必要な財政上の措置を講じるものとすると、義務規定にすべきと考えますが、再度伺います。  保育士の配置基準についてです。  一、二歳児が1対6で、四、五歳児が30対1で、丁寧な援助ができるかという質問と、公定価格に基づく保育士の人数で、長時間保育のシフトが組めるかという質問には、正面からの御答弁を頂けませんでした。  私は長年、保育士をしてきましたが、1歳児6人を1人で長時間保育するのは到底無理です。加えて、現在は、お昼寝のときに1歳児は10分に1回の睡眠呼吸チェックを行います。コロナ対応も加わり、今、保育現場の多忙化、人員不足は深刻なレベルに達しています。  公定価格どおりの人数で長時間保育のシフトはつくれないため、現場は、国の配置基準の2倍近くの保育士を配置しているのが実態です。加配措置では、加配の計算式が変更されて、人員を減らされることがあるのです。現実的には求人をかけても応募がない、就職しても早期退職が多いなど、保育士確保がままならない事態が進行しており、現場の努力も限界を超えていると聞いています。  小学校では、40年ぶりに基準が改善され、1学級当たりの児童数の平均は、小学校基本調査によると22.7人とのことです。小学生より幼い四、五歳児が30人というのは、納得ができないことです。子供たちには、安心・安全で質の高い保育が格差なく平等に保障されなくてはならないと考えます。  こども家庭庁を設置し、基本理念に、子供の健やかな成長及び発達の保障、子供の最善の利益の優先的考慮、これが含まれています。  そこで、知事に伺いますが、現在の配置基準に対する知事の認識と、今後、配置基準の改善の必要性についての認識を伺います。また、ぜひ国へ要望していただきたいと思いますが、再度伺います。  次に、コロナ対策についてです。  検査ですが、不安の方への無料検査は実施しているとのことです。ただ、発熱など、有症者や濃厚接触者は対象外です。また、6月補正で計上された高齢者施設の従事者への抗原検査キットの配布も、数に限りがあります。オンライン購入が可能になったとのことですが、1キット、恐らく2,000円前後かと思います。  発熱外来がパンクする事態は、今、解消されているのでしょうか。高齢者施設のクラスターの発生は、まだ続いていると思いますし、まだ、亡くなる方が、大変残念ですが、おられます。早期発見、早期治療を行い、感染者の増大と、重症者を極力抑える対策が必要です。  そこで、伺います。  発熱など有症者がすぐに検査できる体制を充実させるべきですが、伺います。高齢者施設で発生したときに、以前実施して感染者の拡大を防ぐ効果があった集中検査を行うべきと考えますが、伺います。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 再質問にお答えいたします。  まず最初は、当事者目線障害福祉推進条例の財政上の措置の規定を義務規定にすべきという話でありますけれども、財政上の措置につきましては、施策の実施に当たり、県議会の議決による予算措置、また国の制度見直しを要する事案、これもあります。こういったことから、財政上の措置を講ずるよう努めるものとする、こう規定しているわけであります。義務規定よりも、こういった努力規定といったほうがふさわしいというふうに考えております。  それから、保育士の配置基準の件でありますけれども、どのように考えるかといったことでありますが、配置基準は児童の心身の安全を確保するために必要な人数を算定したものであり、これにより、保育の提供が可能と考えております。したがって、配置基準の引上げを国に要望するといったことも考えておりません。  それから、コロナで発熱などの有症者がすぐに検査できる体制を重視すべきではないかということでありますけれども、症状が出た際に、すぐに検査できる体制につきましては、まず、御自宅で速やかにセルフテストができる抗原検査キットの備蓄、これを引き続き呼びかけてまいります。これは先ほども申し上げましたけれども、我々が要望したことによって、オンライン購入も可能となっております。  加えまして、重症化リスクが高い方は適切に受診につながるよう、県医師会とも連携して、発熱外来の拡充を図っておりまして、現在、県内で2,100を超える発熱診療等医療機関が診療を行っております。  また、高齢者施設で陽性者が発生した場合の集中検査についてですが、今年度は、県庁から検体採取チームを派遣し、より迅速に行っておりまして、必要に応じて医療機関による往診治療も行うことで、感染拡大や重症化の防止を図っております。  答弁は以上です。  〔石田和子議員発言の許可を求む〕 ○議長(しきだ博昭) 石田和子君。  〔石田和子議員登壇〕 ◆石田和子議員 御答弁を頂きました。  意見、要望を最後に申し上げたいと思います。  保育士の配置基準についてですけれども、加配と財政措置は私も大事だと思っております。しかし、2021年の10月の厚生常任委員会の、うちの上野議員がこのことも質問をしておりまして、そのときの御答弁は、国の配置基準、いわゆる最低基準ですが、これは決して十分という基準ではなく、文字どおり最低限の基準だと考えております。したがいまして、児童福祉施設は、最低基準を超えて、常にその設備及び運営を向上させなければならないと規定をされておりますと、御答弁をされております。  これは、児童福祉施設の最低基準、第14条に定められている文言です。先ほどもスクリーンにお示ししましたけれども、これは、常に向上させなければならないと規定されている、まさしく最低の基準なんだということであります。  現場における最大の、そして長年の要求の基本は、配置基準の改善です。ぜひ、今、毎日の保育に必死に頑張る現場の声に寄り添っていただき、ぜひ国へ要望をしていただきたいと、これは強く要望をさせていただきます。これは長年の保育士の悲願です。よろしくお願いをしたいと思います。  それから、医療機関や高齢者施設などへの燃料費や物価高騰については、増額規模が示されて財源が確保された場合は、新たな支援策を早急にまとめるということでございますので、ぜひ早急の取組を要望いたしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。                               〔拍 手〕 ○議長(しきだ博昭) お諮りいたします。  休憩いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(しきだ博昭) 御異議がないと認めます。  よって、休憩いたします。  なお、再開は20分後といたします。                  午後3時11分 休憩       ───────────── ◇ ───────────── △《本会議録-令和4年第3回-20220913-029287-質問・答弁-菅原直敏議員-代表質問①行政におけるデジタル人材の確保・育成について②職員本位の多様な働き方について③共生社会を支える人材の待遇改善について》                   午後3時30分 再開   〔議会局長報告〕  出席議員 副議長共88名 ○副議長(曽我部久美子) 休憩前に引き続き、会議を開きます。   ─────────────────────────────────────── ○副議長(曽我部久美子) あらかじめ時間の延長をいたします。   ─────────────────────────────────────── ○副議長(曽我部久美子) 質問を続行いたします。  菅原直敏さん。  〔菅原直敏議員登壇〕(拍手) ◆菅原直敏議員 菅原直敏です。  曽我部久美子副議長のお許しを頂きましたので、私は、質問通告に従い、かながわ県民・民主フォーラムを代表して、代表質問を行います。  先輩、同僚議員の皆様におかれましては、しばらくの間、御清聴のほど、よろしくお願い申し上げます。また、知事におかれましては、率直な御答弁のほど、よろしくお願い申し上げます。  今日の質問、大項目では、3点ございます。  まず1点目、行政におけるデジタル人材の確保・育成について、そして2点目、職員本位の多様な働き方について、3点目、共生社会を支える人材の待遇改善について質問させていただきたいと思います。  まず、最初の質問は、行政におけるデジタル人材の確保・育成についてです。  質問の趣旨は、社会のデジタル化の促進により、官民問わず確保が困難になっているデジタル人材の確保・育成について、本県の取組を将来にわたり、より実効性のあるものとすることと、県内の市町村に対する県のデジタル人材確保・育成支援の役割を明らかにすることです。  まず、本県のデジタル人材の確保・育成についてです。  デジタル人材の育成は喫緊の課題です。例えば、本年6月7日に閣議決定されたデジタル田園都市国家構想基本方針では、デジタル人材が質・量ともに不足していることを指摘しています。  具体的には、デジタル社会の推進に最低限必要な人数を330万人と仮設定し、現在の情報処理・通信技術者の人数である100万人との差である230万人を2026年末までに育成する目標を掲げています。  この目標値から、日本全体の人口における本県の人口の割合で算出すると、本県においても、十数万人のデジタル人材の育成が必要になると推計されます。  また、このようなデジタル人材の不足は、行政のデジタル化を推進する自治体においても喫緊の課題であり、多くの自治体において、その確保・育成に対する取組が行われ始めています。  例えば、元ヤフー株式会社代表取締役社長である宮坂学氏を副知事に迎えた東京都では、デジタル人材の確保・育成に熱心に取り組んでおり、組織が求めるデジタル人材像を明らかにした上で、東京都デジタル人材確保・育成基本方針ver.1.0を策定しました。合計45ページから構成される本指針の内容は、方針策定の基本認識と組織が求めるデジタル人材像を明らかにした上で、人材の確保・育成に向けた具体的な取組について、イラストや図を豊富に用いて詳述している点であります。  さて、本県においては、2021年12月に策定された、かながわICT・データ利活用推進戦略の戦略6、デジタル人材の確保・育成に基づいて取組が進められています。  まず、デジタル人材の確保については、デジタル関係の専門的な素養を持つ人材の確保とあり、職員の採用と外部人材の活用において、大枠の方針は示されていますが、具体的な取組については、県より公開されている資料等から確認することはできません。  また、デジタル人材の育成については、本年4月1日より、神奈川県デジタル人材育成方針を策定しました。デジタル人材の目指すべき職員像や求める知識、スキルを明らかにしている点は評価できます。  一方で、具体的取組については、研修の実施、民間企業等への研修派遣、OJTの推進が示されているものの、その内容は、東京都の方針と比較して、具体性に欠けており、推進体制や具体的な工程及び組織の将来像もイメージし難く、まだ試行錯誤の過程であるとの印象を受けました。  そこで、知事に質問です。  デジタル関係の専門的な素養を持つ人材の確保とありますが、今後の具体的な取組についてお伺いいたします。  また、本県のデジタル人材の育成について、来年度以降より具体的な育成の目標、取組及び工程を示していくことが、実効性のある組織的なデジタル人材の育成に資すると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、県内の市町村におけるデジタル人材の共有についてです。  総務省は2023年度、デジタル人材へのニーズが高まる中、市町村業務に必要な人材の確保を支援することを目的として、複数の自治体が外部の専門家を共有するモデル事業に着手する方針を示しています。  実際、総務省は、令和5年度総務省所管予算概算要求の概要において、デジタル人材の還流等促進の項目で、都道府県等での人材シェアリングを挙げております。  また、本年9月2日に総務省が改定した自治体DX全体手順書2.0版においても、外部人材のシェアリング・ネットワーク化という項目を新規に追加し、「官民問わず、デジタル人材の需給は逼迫している状況に鑑みると、外部人材のシェアリングについても検討する必要があり、その際、都道府県においては、シェアリングに当たって積極的な調整や支援を行う役割が期待される。実際に、一部の都道府県や市町村においては、高度なデジタル人材を都道府県や連携中枢都市圏における連携中枢都市において確保し、域内市町村間でシェアリングする動きがある」と、その重要性を説明しております。  総務省が自治体DX推進のためのデジタル人材の確保の取組として注目している事例として、愛媛県の高度デジタル人材シェアリング事業が挙げられます。同事業では、システム・情報セキュリティー、データ利活用、デザイン、広報・マーケティング及び官民共創の5分野について、高度な知見を有する専門官を設置し、県内20市町でそれらの人材を共有しています。  この取組は、県と20市町によって構成される愛媛県・市町DX推進会議内に設置されたチーム愛媛DX推進支援センターが事務局を担当し、全体戦略を統括する愛媛県・市町DX推進統括責任者のマネジメントの下、20市町の共通の方向性と全体最適を目指している点が特徴であります。  また、今月、東京のDX推進強化に向けた新たな展開において、都と市区町村を含めた東京全体のDXを効果的に進めるため、行政と民間が協働して、斬新でイノベーティブなサービスを生み出す新たなプラットフォームとして、2023年にGovTech東京設立の構想を発表しました。都と市区町村の共同のデジタル人材の確保・育成を推進していくこととされており、教育プログラムの提供、人材紹介等、総合的な取組を推進しております。  ほかにも、福岡県と県内市町村が負担金を拠出する「ふくおか電子自治体共同運営協議会」がDXプロデューサーを共有する取組を進める等、自治体の間のデジタル人材の確保は厳しさを増している状況でございます。  本県の戦略においては、戦略7、市町村支援・連携が掲げられておりますが、県内市町村の中には、デジタル人材の育成・確保に困難を抱えている自治体も少なくないと想定され、市町村におけるデジタル人材の育成・確保において、県は広域的な観点から果たせる役割があると考えております。  そこで、知事に質問です。  県内市町村におけるデジタル人材の育成・確保及び外部デジタル人材の活用状況について把握しているか、お伺いいたします。  また、特に規模の小さな市町村においては、単独でデジタル人材の量と質を確保することは困難であり、市町村間でデジタル人材の共有を図ることは、有効な手段であると考えられますが、知事の御所見をお伺いいたします。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(曽我部久美子) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 菅原議員の御質問に順次お答えしてまいります。  行政におけるデジタル人材の確保・育成についてお尋ねがありました。  まず、本県のデジタル人材の確保・育成についてです。  初めに、デジタル関係の専門的な素養を持つ人材の確保についてです。  デジタル化を進めるためには、長期的な視点で、情報系の専門的な素養を持つ人材を継続的に採用していくことが重要です。そこで、昨年度新設したキャリアフリー採用試験において、受験者がデジタル関係の資格や経験をアピールする機会を設け、それを積極的に評価することで、優秀な人材の確保を図っています。  また、CIO兼CDOやDX推進アドバイザーとして外部人材を複数任用し、幅広い知見や柔軟な発想で課題解決に力を発揮していただいています。  次に、デジタル人材の育成についてです。  人材育成に当たっては、具体的な目標を立て、継続的に取り組んでいくことが重要です。そこで、本県のデジタル人材として、目指すべき職員像や具体的な取組などを整理した神奈川県デジタル人材育成方針を本年3月に新たに策定しました。  この方針では、従来の情報システム等の担当職員を中心とした専門人材の育成に加え、各所属で自らデジタルを活用し、業務改善やDX等を推進できる職員を事業系デジタル人材として育成することとしました。  具体的には、原則、各所属1名から2名程度、事業系デジタル人材として育成するため、国家試験のITパスポートレベルの知識や、スキルの習得を目標とした研修をおおむね2年間で受講させることにしています。来年度以降、新しい研修も柔軟に取り入れながら、より実効性のある取組にしていきたいと考えています。  今後も、デジタル人材の確保・育成を通じ、本県のデジタル化の取組をしっかりと進めてまいります。  次に、県内の市町村におけるデジタル人材の共有についてです。  まず、県内市町村におけるデジタル人材の育成・確保及び外部デジタル人材の活用状況についてです。  初めに、人材育成についてですが、県内の多くの市では、DXや情報化の研修を実施している一方で、町村では、研修を実施している団体が少ない状況です。  また、デジタル人材の確保や活用状況については、例えば、外部人材を特別職非常勤や任期付職員として任用している市が幾つかある一方で、外部人材の役割やスキルを整理、明確にすることができないとの声もあり、任用する予定がない、または未定という市町村も多い状況です。  次に、市町村間でデジタル人材の共有を図ることについてです。  市町村のデジタル人材については、これまで県のデジタル人材を派遣してほしいとの要望に基づき、県と市町村の間で長年にわたって運用してきた職員交流システムを活用し、即戦力となる県の情報部門で経験を積んだ職員を派遣してきました。現在、3団体に派遣しており、市町村へのノウハウの共有や人材の育成を行っています。  一方、官民を問わず、デジタル人材の需給が逼迫していることもあり、複数の企業や自治体の間で、外部のデジタル人材をシェアリングする動きがあることは承知しています。  そこで、こうした新しい取組を始めている自治体に、効果や課題などを確認しながら、まずは、市町村の意向を丁寧に把握していきます。  今後とも、これまで実施してきた取組を含め、市町村のデジタル人材の確保・育成を支援し、県全体でDXをしっかりと推進してまいります。  答弁は以上です。  〔菅原直敏議員発言の許可を求む〕 ○副議長(曽我部久美子) 菅原直敏さん。  〔菅原直敏議員登壇〕 ◆菅原直敏議員 御答弁を頂きました。  最近、日本でデジタル人材の関係もそうなんですけれども、デジタルで日本はちょっと負けたみたいな論調が結構多くて、政府のほうでもそういった、いろいろな御意見が出ていたりするのですけれども、何でこうなったのかなって考えたときに、やっぱり日本のIT政策って、人づくり、組織づくり、そして仕組みづくりを結構軽視してきたところがあって、もっと言うと、この間30年間もIT投資をほかの先進国と違って、全くしてこなかったという部分が今の程度の差に広がってきているってのは、これは結構、データベースでも出ていたりすると思っています。  そういった中で、今日は人というものに対して、すごくフォーカスを当てたんですけれども、やっぱり私、この全国のデジタル化の事例をいろいろな形で、私は意見を聞いたりだとか、実際に自分自身、講演に行って聞いていると、何をしたらいいのか分からないとか、人材の要求・要件定義ができないというのは、結構大きな問題であるなというふうに思っております。  なので、先ほど知事がおっしゃったように、まず現状把握していくっていうところがすごく大切で、人材シェアリングも一つのアプローチでしかないので、私はそれが一つの答えだとは思っていませんけれども、そういった事例も含めて、参考にして進めていっていただけたらなというふうに思っております。  その上で、今後は行政、地域、社会のあらゆる分野でデジタル技術が前提になって再構築されていく中で、デジタル人材のニーズって極めて高くなっていくということは、多分皆さんも、そのとおりだと思われていると思うんですけれども、実際問題、これはもう官も民も問わず、本当に人材の確保ってのは、すごく難しいなというふうに思っています。  その上で、意見とか提案も本当にたくさん言いたいことはあったのですけれども、たった一つだけ、神奈川県のデジタル戦略本部の皆さんとかにやっていただきたいなと思うのは、情報をオープンにすることだと思うのですね。  昨年の私の一般質問で申し上げたんですけれども、今度、知事、「東京、デジタル」で検索して東京都のデジタルサービス局のホームページを御覧いただくといいと思います。あれだけ情報がオープンになって公開されていると、いろいろな人材がやっぱり集まりたくなるなというふうになると思うんです。  一方で、神奈川県は、いろいろな取組をされているんだと思うんですけれども、私、この質問をつくるに当たっても、ほとんど情報が公開されていないので、一々職員の方から頂く形でしか情報を取れなかったんですね。多くの人たちが、どこかの県に関わろうと思ったときに、やっぱり神奈川県のデジタルのホームページを見るわけであって、今年になって更新、どれだけされているか、知事、御存じですか。6月23日の1回だけなんですよね、それもDigi田甲子園。これは政府の取組ですから、神奈川県の本質的な取組ではない。そうなってきたときに、やっぱり神奈川県がいろいろなことをやっていて、人材確保に真剣なのであれば、そういった事業情報をどんどんオープンにして出していくという、この前提条件を、昨年も申し上げましたけれども、あれから全く動いていないので、やっていただくと、まず、いいんじゃないかなというふうに思っております。  それでは、次の質問に入ってまいりたいと思います。  職員本位の多様な働き方についてです。  質問の趣旨は、本県における職員の過重労働の根絶と、各職員が自分らしく、やりがいを持って働ける職場環境の構築、及びその手段としての各種取組に関する県の現状と意思を明らかにすることであります。  まずは、「勤務間インターバル」制度についてです。  勤務間インターバル制度とは、1日の勤務終了後、翌日の出社までの間に一定時間以上の休息時間、インターバルを設けることで、働く方の生活時間や睡眠時間を確保する取組です。  人事院が主催する国家公務員の働き方改革に関する研究会が本年7月に発表した中間報告書において、勤務間インターバル確保の方策の検討は特に重要であると記載されています。  この背景には、中央省庁では、深夜まで働きながら、翌朝早くから出勤することが日常的となっているという大きな問題意識があります。実際、内閣人事局が2020年12月に公表した正規の勤務時間外の在庁時間では、2020年10月から11月に、20代総合職の3割が過労死ラインの目安とされる月80時間超とされております。  さて、本県に目を向けると、第2期行政改革大綱令和3年度点検報告書、働き方改革の推進において、月100時間以上の職員ゼロが目標とされております。しかし、月100時間以上の時間外勤務の職員が、令和3年度の実績値では127名となっています。  デルタ株・オミクロン株対応等の緊急的な業務の発生があったことは理解しますが、過労死ラインの目安とされる時間外労働時間80時間を大きく超える100時間勤務を実施する職員が100名以上いることは、深刻な問題であることは、6月の会派討論でも指摘をさせていただきました。  また、2017年2月22日の私の一般質問において、知事はインターバル規制の有用性について理解を示しながら、国の動向も十分注視しながら、インターバル規制の効果や課題の整理を行う必要があると考えていますと、御答弁をされております。  そこで、知事に御質問です。  本県においても、勤務間インターバル制度の導入を検討すべきであると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。  また、本県では、勤務間に一定の休息時間を確保するために、どのような対策を講じてきたのか、併せてお伺いをいたします。  次に、週休3日制についてです。  週休3日制とは、文字どおり、週における休みを1日増やし、週休3日とする制度です。ワーク・ライフ・バランスの向上、リスキリングの機運醸成、兼業・副業に対するニーズの増加等、様々な観点から、この週休3日制の導入は、今後の働き方の標準になっていく必要があるのではないかと私は考えております。  実際、欧州等の幾つかの国では、週休3日制を試行、導入する国が増えています。例えば、GOING PUBLIC: ICELAND’S JOURNEY TO A SHORTER WORKING WEEK June 2021によると、2015年から2019年に首都レイキャビク市と国において、賃金を維持したままでの週休3日制を施行したアイスランドにおいて、生産性を保ちながら、就労者の健康や幸福感、ワーク・ライフ・バランスの向上を実現できたとの報告があり、現在では、就労人口の大半が労使交渉を通じて、実際に労働時間を短縮したり、短縮する権利を得たりしているとのことです。  また、2021年6月18日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2021 日本の未来を拓く4つの原動力~グリーン、デジタル、活力ある地方創り、少子化対策~」いわゆる骨太方針2021では、多様な働き方の実現に向けた働き方改革の実践、リカレント教育の充実において、選択的週休3日制について、企業における導入を促し、普及を図ることを明記しております。  そこで、知事に質問です。  多様な働き方の選択肢の一つとして、職員の週休3日制について検討する意義があると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。  最後に、「つながらない権利」についてです。  テレワークの標準化等、職員の柔軟な働き方を推進する上で、チャットツールやウェブ会議システムのように、各種デジタルツールを活用することは不可欠となっております。  一方で、このようなデジタルツールによって、各職員に配付された端末等を通じて、常に職員が業務にアクセスできる状態にさらされ、業務のストレスを与え続ける可能性があります。  このような課題意識の下、勤務時間外や休日に仕事上のメールや電話への対応を拒否する権利、いわゆるつながらない権利─right to disconnectが世界的に叫ばれるようになっています。  例えば、フランスの場合、従業員数50人以上の企業を対象に、業務時間外のつながらない権利に関する定款の策定が法令で義務づけられたのを筆頭に、先進国ではつながらない権利の法制化の議論が活発になっております。  日本では、このつながらない権利の議論は、まだ活発ではありませんが、業務のデジタル化を推進する本県においては、職員におけるつながらない権利を求める潜在的な必要性は高まっていると考えております。  そこで、知事に質問です。  職員の私生活に配慮しながら柔軟な働き方を実現するために、業務において、つながらない権利を考慮した対応をする必要があると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(曽我部久美子) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 職員本位の多様な働き方について、何点かお尋ねがありました。  まず、「勤務間インターバル」制度についてです。  勤務終了から次の勤務開始までの間に、必ず一定時間以上の休息時間を設ける勤務間インターバル制度は、EU加盟国を中心に導入が進んでおり、労働者の健康を守るために大変重要な取組であると認識しています。  我が国においては、民間企業で努力義務とされていますが、国の令和3年の調査によると、実際に制度を導入している企業は4.6%にとどまっています。  また、公務部門については、災害時の突発的な業務への対応など、検討すべき課題が多く、人事院の研究会では、引き続き丁寧に議論する必要があるとしています。  このため、県職員への勤務間インターバル制度の導入については、まず、国の動向等を注視していく必要があると考えています。  一方、県では、全庁を挙げて働き方改革を推進する中で、職員の勤務間の休息時間をできるだけ確保するため、様々な対策を講じてきました。  まずは、長時間労働の是正に向けて、朝夕ミーティングやノー残業デーの定時退庁の徹底、午後9時以降の残業の原則禁止等に取り組んできました。また、始業時間を後ろ倒しできる時差出勤制度の運用を大幅に見直し、前日の申請も認めることで、急に遅くまで残業せざるを得なくなった場合でも、例えば、翌日の出勤時間を2時間遅らせて、10時半に出勤することが可能になりました。さらに、テレワークを推進し、通勤時間をなくすことで、負担軽減を図る取組を進めています。  今後とも、勤務間の休息時間の確保に向けて、しっかりと対策を講じることで、職員が健康で生き生きと働き続けられるよう取り組んでまいります。  次に、週休3日制についてです。  地方公務員の勤務時間等は、関係法令により、国や民間企業等の状況を考慮して決定するものとされています。  民間企業では、国が令和3年に実施した調査によると、月1回だけ週休3日にしているなど、完全週休2日制より休日の日数が多い企業は、8.5%にとどまっています。  公務員については、現在、人事院の研究会で勤務時間制度等に関する検討が行われていますが、週休3日制については、議論がされていません。また、実際に公務部門に週休3日制を導入する場合には、例えば、窓口業務の人員体制への影響など、整理すべき多くの課題があります。  こうした点を踏まえると、本県において、現時点で、週休日の日数拡大に向けて具体的な検討をする状況にはないと考えています。  一方、職員のワーク・ライフ・バランスの実現を図る上では、休暇の取得も大変重要です。これまで本県では、月1回、家庭の日を設定するよう促すなど、年次休暇の取得促進に取り組んでおり、年次休暇の平均取得日数は増加傾向にあります。  また、専用ポータルサイトで育児等に関する休暇制度を周知しているほか、県独自の対応として、介護に関する休暇等の取得可能日数を拡大するなど、子育てや介護に取り組む職員が安心して働ける環境づくりを進めています。  さらに、全庁を挙げてテレワークを推進しており、通勤に充てられていた時間を職員が有効に活用することが可能になっています。  今後とも、週休3日制については、国や民間企業等の動向を注視しつつ、まずは、職員のワーク・ライフ・バランスの実現に向けて、休暇の取得促進などにしっかりと取り組んでまいります。  次に、「つながらない権利」についてです。  いわゆる「つながらない権利」は、勤務時間外や休日に仕事上のメールや電話等への対応を拒否できる権利のことで、主にヨーロッパで、労使協定や雇用契約に明記するよう企業に義務づける取組が進んでいます。  我が国でも、厚生労働省がテレワークに関するガイドラインの中で、時間外や休日の指示、報告についてルールを設けることは有効であるとしており、一部の民間企業で導入が始まっています。  一方、公務員については、人事院で具体的な議論が行われておらず、新型コロナウイルス対策や災害対応はもとより、休日の突発的な事案への対応もあるため、現時点では、ルール化をして徹底することは難しいと感じています。  本県では、モバイルパソコンやコミュニケーションアプリを導入したほか、時差出勤やテレワークなどの制度改革を通じて、職員の柔軟な働き方を後押ししてきました。こうした取組をコロナ禍で一層徹底した結果、今では、重要な庁内会議から職場内の打合せに至るまで、リモートで行うことが当たり前となり、県庁の働き方は大きく変わりました。  しかしながら、こうした環境の変化によって、職員の仕事と私生活の区分が曖昧になり、ワーク・ライフ・バランスが崩れることは、できるだけ避けなければなりません。  そこで、つながらない権利への対応として、まずは、職員は、休日や夜間においては、緊急対応など、やむを得ない場合を除き、むやみに連絡してはならないということを全庁共通の認識とするため、働き方に関する庁内会議などの場を通じて周知いたします。  こうした取組と併せて、引き続き、デジタルツールを積極的に活用して働き方改革を推進し、全ての職員が働きやすい環境づくりを進めてまいります。  答弁は以上です。  〔菅原直敏議員発言の許可を求む〕 ○副議長(曽我部久美子) 菅原直敏さん。  〔菅原直敏議員登壇〕 ◆菅原直敏議員 御答弁いただきました。  各種取組をいろいろされているということ、本当にそれは大切なことだなというふうに思います。ただ一方で、先ほど御指摘させていただいたように、過重労働になっている職員が絶対数出ているという事実があるわけであって、この部分というのは重く受け止めなければいけないんだろうなというふうに思っています。  理論的なお話なんですけれども、過重労働をなくす方法って何だろうかって、すごく単純に考えてみると、過重労働をできない仕組みをつくればいいという、そういうところだと思うんですね。でも、なぜ、それが実際問題、特に日本において、これは官民問わず、多くの企業でできないのかなというふうに思ったときに、人を長時間働かせるという方法において、組織運営ができないという組織が多いというところが多いと思うんです。何でかって言ったら、これは経営の問題であって、まずは組織のトップがどういう意思でいるのか、過重労働は絶対許さないんだという意思になれば、その経営のマネジメントの方法としては、別の代替の方法を探すでしょうし、逆に、そこが弱ければ、当然、今の現状を見て注視をして、課題を整理してという時間に割いていくという形になると思うんです。なので、私は先ほど来、知事の意思であったり、県の仕組みについて、いろいろとお伺いをしたところでございます。  その上で、当然、今の県の現状というのは重々承知した上で、今後、数年先まで含めたときに、私は意見、提案としてあるのですけれども、まず、この勤務間インターバル制度については、全国の都道府県に先駆けて、県として私は制度化していくべきなのではないかなというふうに思っております。当然難しい、例外規定はあってもいいと思うんですけれども、そういったものをしっかり意思として、形と仕組みとして示すということが大切ではないかなというふうに思っております。  そして、週休3日制についても、そもそも論として1日8時間、みんな集中して週5日働いているのかと問われると、意外とそんなことないわけであって、実はアイスランドの事例で私が注目しているのは、週5日から4日に働くことを減らして、給料も変えないでやったけれども、生産性が向上したというところが、結構私はポイントだと思っているのですね。ただ、当然、日本の組織でそうなるかというのは、また未知数なので、一回、定点でその試行実験をしてみるというのは、いいんじゃないかなと私は思っていたりもします。  最後に、つながらない権利、これは共有していただけるという形で、本県における第一歩だと思うんですけれども、そういった様子を見ながら、今後、ガイドラインだとか、そういった形で、ひとつ仕組みにしていっていただきたいなというふうに思っております。  今日取り上げたこの三つの論点で、ともすると、日本の労働習慣で言うと、ちょっと先のことを言っているなと思われがちなんですけれども、先ほど知事の御答弁にもあったとおり、先進国では結構標準的な形になってきているのですね。ただ、世界標準の話をしているだけなんです。  なので、先行会派でよく神奈川モデルっていう話があったんですけれども、やっぱり私は、こういった分野でも神奈川モデルをつくっていただけたらいいのではないかなというふうに思って御提案をさせていただきました。  ただ、ちょっと今日の御答弁を聞く限りは、注視をするっていう、人事院の動きとか、注視ってどういうことなのか分からないけれども、ずっとじっと見ているのか分からないんですけれども、そしたら、何も変わらないし、その瞬間、人が倒れていたりもするわけですよね。その間も、何か国のほうをずっと見ているのかって言ったら、そうでないと思うんですね。だから、そういった意味では、知事は突破力もあって、発信力もありますから、こういった分野においても、神奈川モデルをつくっていただきたいなと思います。  職員が自己や家族を犠牲にしてまで行う業務は、私はないというふうに思っておりますし、県民もそういったことを私は望んでいないというふうに思っております。やっぱり127人が過重労働にあるってのは、私は深刻な問題だと思うので、もちろん突発的な業務があるということは重々承知した上でも、やっぱりこれがゼロになるということを、どう仕組みで担保していけるのか、そういうできる理由を探す議論を今後していけたらなというふうに思っております。  それでは、最後の質問に入りたいと思います。  共生社会を支える人材の待遇改善についてです。  質問の趣旨は、介護・障害福祉分野におけるケアワーカーに関する構造的問題の解消と、看護・介護・障害福祉分野における労働環境の適正化と、それに対する県の意思を明らかにすることであります。  まず、介護・障害福祉分野に係るケアワーカーの待遇改善についてです。  津久井やまゆり園における殺傷事件の際に注目されたことは、加害者である元施設職員の障害者に対する極度に偏った差別的思想でした。  しかし、本事件の原因が加害者の個人的な動機に矮小化されるべきではないと私は考えております。むしろ差別的思想を持った人間やケアワーカーとしての意識と技術が未熟な人間を、施設職員として採用せざるを得ない障害者福祉の現場における人材の量と質の不足がその背景の一つにあったと私は捉えております。  そして、人材不足と、支援者であるケアワーカーの待遇が向上しないことが、その一つの要因となっております。なお、この文脈における待遇とは、ケアワーカーの給与水準と労働環境を主に指します。  実際、この事件の後も、本県の障害者施設において深刻な虐待が顕在化し、問題となってまいりました。虐待に対する意識が低い人間が、施設職員として働いているという構造的な問題に、もう少し焦点を当てるべきだと私は考えております。  一方で、本県では同事件を契機として、県と県議会による「ともに生きる社会かながわ憲章」の策定をはじめとして、様々な共生社会実現のための取組がなされてまいりました。その大きな流れにあるものとして、本定例会において上程されている神奈川県当事者目線障害福祉推進条例が挙げられます。  私は所属する厚生常任委員会や本会議場における討論の場等において、同素案の内容に対して、障害福祉に係る人材の確保と育成を掲げるのであれば、人材確保の主要因である人材の待遇と労働環境の改善を明記しなければ、実効性を担保できないのではないかと強く危惧していますと強く求め、提案をしてまいりました。  今議会で上程されている条例案については、人材の確保、育成等に係る第26条第2項において、県は、従事者の職場への定着を促進するため、就労実態の把握、情報の提供、助言その他の従事者の心身の健康の維持及び増進並びに処遇の改善に資するための措置を講ずるものとすると明記されました。  素案においては、県は、障害福祉サービスに係る事業等に従事することを希望する者及び現に従事する者に対し、採用に関する適切な情報の提供、技術向上の支援等を行うことにより、障害福祉に係る人材の確保及び育成に努めるものとするとされていた内容を、3項にわたる条文に充実させ、処遇改善に資するための措置を講ずると、大きく踏み込んでおります。  これらの経緯を踏まえると、障害福祉サービスに係る事業等に従事する者への処遇改善に踏み込んだ本条例は、私は、全国的にも大変珍しく、高く評価をさせていただいております。  特に介護・障害者福祉は、介護保険や税金からの拠出金によって成り立つ準市場の色彩が強く、ケアワーカーの待遇については、行政における政策決定が大きな影響を与えるため、中長期の視野に立った場合、本県の本条文は県行政の大きな方向性を示すものであり、他都道府県においても、よい影響を与えることと確信をしております。  さて、県として処遇改善の意思が明確にされましたが、依然として介護・障害者福祉に従事する方々の給与水準と労働環境に厳しい現実が見られることには変わりがなく、県の処遇改善に対する強い意思を実効性のある形で推進していくことが、今後は求められます。  そこで、知事に質問です。  本県として、障害者福祉に係るケアワーカーの待遇改善を図る意思を条例案において明確にされましたが、これらも踏まえ、将来にわたって介護・障害者福祉に係るケアワーカーの待遇改善における各種取組において、実効性を担保していくことが重要であると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。  次に、看護・介護・障害福祉分野における「勤務間インターバル」制度の導入促進についてです。  働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律によって、労働時間等の設定の改善に関する特別措置法が改正されたことにより、勤務間インターバル制度導入が企業の努力義務となり、2019年4月から施行されています。  また、医師については、2022年1月19日付の政令公布によって、2024年4月から適用される予定です。  看護・介護・障害福祉分野のように、共生社会の実現を支える、いわゆるエッセンシャルワーカーが働く夜勤のある職場の長時間労働の苛酷さについて、私は県議会において何度も取り上げてまいりました。  実際、日本では、看護・介護・障害福祉分野において、一般的に行われている16時間勤務の夜勤は、業務の質の低下、事故や虐待の増加、そして何よりも勤務者の心身及び社会生活の負担増大等の多くの問題があります。  国際的な視点からは、夜業に関する条約に基づく夜業に関する勧告において、労働時間は夜業に従事するいかなる24時間においても8時間を超えないこと、一般的に同じ仕事を同じ要件で昼間行っている労働者よりも平均して少なく、昼間の労働者の平均を決して上回らないことなどを規定しております。  また、欧州連合労働時間指令では、24時間中において、11時間の休憩を得る権利、勤務間インターバルを与えております。  一方、我が国では、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律において、勤務間インターバル制度導入が企業の努力義務とされています。義務ではないという不十分さは残るものの、厚生労働省は同法に基づき、勤務間インターバル制度の導入促進を図るため、普及啓発、助成金等の取組を行っております。  また、本県においても、産業労働局雇用労政課を中心に、中小企業労務管理セミナー等の取組を通じて、勤務間インターバル制度についても扱った啓発等を行っていることは承知しております。  しかし、例えば公益財団法人日本看護協会において、勤務間インターバルの確保も含めた労働環境の改善が厚生労働省に提案される等、現場からの声が上がり続けており、看護・介護・障害福祉分野のように、勤務間インターバル制度を最も必要とする現場において、導入が不十分であることがうかがえます。  これらの現状を考慮すると、勤務間インターバル制度の導入促進の取組を産業労働局の関与だけで行うことには限界があります。したがって、県の看護・介護・障害福祉分野に関わる担当部局が、同分野の企業及び医療法人、社会福祉法人等の団体に対して、勤務間インターバル制度の導入促進への総合的なアプローチを行うことが重要であると考えております。  そこで、知事に御質問です。  民間企業における勤務間インターバル制度に関する本県の考えや、今までの取組についてお伺いいたします。また、特に看護・介護・障害福祉分野における導入が重要であると考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。  さらに、看護・介護・障害福祉分野の企業・団体において、勤務間インターバル制度の導入を促進する取組を県として進めていくべきであると提案しますが、知事の御所見をお伺いいたします。  以上です。  〔知事(黒岩祐治)発言の許可を求む〕 ○副議長(曽我部久美子) 黒岩知事。  〔知事(黒岩祐治)登壇〕 ◎知事(黒岩祐治) 共生社会を支える人材の待遇改善についてお尋ねがありました。  まず、介護・障害者福祉に係るケアワーカーの待遇改善についてです。  介護・障害者福祉の現場で働くケアワーカーの待遇は、他業種と比べると、まだ十分とは言えず、県としては、より一層の改善が必要と考えています。  そこで、今定例会に提案した当事者目線障害福祉推進条例案には、県が処遇改善に資するための措置を講ずる旨を規定し、現場の第一線で利用者支援に当たるケアワーカーの待遇改善に取り組むこととしています。  具体的には、介護・障害福祉サービスの報酬に上乗せする処遇改善加算を事業所が取得できるようにすることが重要だと考えています。  県では、加算取得のためのセミナーの開催や、事業所からの相談に応じるなどし、一定の成果を上げてきました。しかし、いまだ加算の取得に至っていない事業者からは、加算取得のための事務作業が煩雑などの課題が挙げられています。  そこで、県は、全ての事業所が加算を取得できるよう、事業所を個別に訪問して、課題を整理し、規程類を整える等、個々の事業所に寄り添って、きめ細やかに支援していきます。  また、高齢者保健福祉計画等において、処遇改善加算の取得率を目標として設定し、進捗状況を管理するなど、より一層、計画的に事業所による加算の取得を促進していきたいと考えています。  さらに、介護・障害福祉サービスの報酬は、国が定める公定価格を基本としていることから、報酬そのもののさらなる引上げなどを国に粘り強く要望していきます。こうした取組により、ケアワーカーのさらなる待遇改善を確実に進め、共生社会を支える人材の確保に努めてまいります。  次に、看護・介護・障害福祉分野における「勤務間インターバル」制度の導入促進についてです。  勤務間インターバル制度は、働く人の生活時間や睡眠時間を確保し、健康保持や過重労働の防止に大変効果的な制度です。  そのため、県では、民間企業に対する幅広な取組として、中小企業の労務管理者を対象にした労務管理セミナーなどで、この制度を周知し、導入を促してきました。  議員御指摘の看護・介護・障害福祉分野では、夜勤を含め、交代制勤務の施設が多く、新型コロナウイルス感染症の影響により、厳しい勤務環境が続いていますので、勤務間インターバルを十分に確保するなど、過重労働を防止することが大変重要と考えています。  そこで、医療従事者に対しては、労務管理セミナーでの周知に加え、勤務環境の改善を支援する研修の中で、看護職員の時間外勤務の縮減などに取り組んだ好事例の紹介を行っています。また、介護・障害福祉サービス事業者に対する講習会でも、勤務時間や休日の割り振りなど、交代制勤務の適切な運用を促しています。  今後は、こうした研修や講習会の中で、勤務間インターバル制度について改めて周知を行い、積極的な導入を促すことで、看護・介護・障害福祉分野における勤務環境の改善を図ってまいります。  答弁は以上です。  〔菅原直敏議員発言の許可を求む〕 ○副議長(曽我部久美子) 菅原直敏さん。  〔菅原直敏議員登壇〕 ◆菅原直敏議員 御答弁いただきました。  まずは、条例に関して、いろいろ評価をされる点ってあると思うんですけれども、私は処遇改善に踏み込んでいただいたというのは、すごく大切なところなのではないかなというふうに思っております。私は、全国的にすごく珍しいと思いますので、ぜひこの点は発信をしていっていただけると、現場にとっても、いい影響が与えられるのではないかというふうに思っております。  あとは、処遇改善の加算に関しては、介護分野が94%、そして障害分野が82%の取得率なんですよね。障害福祉分野がなぜここまで取得率が低いのかって、いろいろな理由があると思うんですけれども、やっぱりこの加算をしっかり取るというところがスタートラインだと思うので、ここに対する対応は、先ほどの御答弁のとおり、していっていただけたらというふうに思いますし、その上で、国に働きかけていくというところを併せてやっていただけたらというふうに思います。  あとは、勤務間インターバルに関しては、もう16時間夜勤をさせる国って日本ぐらいなんですね。これはやっぱり、なくしていきたいなというのが、もう正直な、自分自身もやってみての感想で、やっぱりそういった意味では、こういった企業に対して、インセンティブを与えていける、そういった仕組みも今後考えていっていただけたらなというふうに思っております。  以上で、私の質問を終了させていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。                               〔拍 手〕 ○副議長(曽我部久美子) お諮りいたします。  本日の質問はこの程度で終わり、次回、引き続き質問並びに質疑を行いたいと思いますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○副議長(曽我部久美子) 御異議がないと認めます。  よって、本日の質問はこれで終わります。   ─────────────────────────────────────── ○副議長(曽我部久美子) 以上で、本日の日程は終了いたしました。  次回の会議は、明14日午後1時に開きます。  本日はこれで散会いたします。誠に御苦労さまでございました。                  午後4時20分 散会...